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顕在意識とは、私たちが日々自覚的に使っている意識のことです。例えば、今この瞬間「何を考えているか」「どんな気持ちか」「自分は誰か」と意識的に感じ取る“私”の感覚、それが顕在意識です。顕在意識は、論理的思考や分析力、問題解決能力を司る非常に重要な部分で、主に左脳が関係しています。つまり、顕在意識は「自分で自覚できる意識」であり、「私はこう思う」「私はこういう人」という“自分像”がここに現れます。しかし、これは心のごく一部に過ぎず、本当の“自分”の多くは潜在意識の中に隠れていることが少なくありません。また、顕在意識は、「良い」「悪い」といった判断を下す傾向があり、その基準は育った環境や信念体系に大きく影響されます。ですから、自分では論理的に理解しているつもりでも、無意識の感情や習慣が思考や行動に影響を与えることがあります。

現代人の生活は、どうしても顕在意識に偏りがちです。実は、私たちの意識のうち顕在意識が占める割合はわずか10〜15％といわれ、残りの大部分は潜在意識（感覚や直感、記憶、感情といった自覚しにくい領域。主に右脳が関係している）が担っています。顕在意識に偏ると、「考えすぎて行動できない」「悩みすぎて前に進めない」といった状態になりやすくなります。また、左脳での過剰な思考は、右脳＝感情や身体にも影響します。不安や恐怖を感じると、心拍が上がったり、胃が痛くなったりするなどの症状が出ることがあるのはそのせいです。顕在意識が強すぎると、日常生活においても、思考が先行して体の感覚を無視してしまうことが多くなってしまいます。

学習と習慣の入口

新しいことを学ぶ時、例えば車の運転やスポーツでは、最初は意識的に体を動かす必要があります。これは顕在意識の働きです。しかし、繰り返し練習することで体が覚え、無意識に動けるようになると、それは潜在意識に移行した状態です。人間関係でも同じです。過去の嫌な経験は潜在意識に刷り込まれ、次の相手に対しても無意識に警戒してしまうことがあります。顕在意識で経験を理解し整理することによって、潜在意識に悪影響を残さず、より良好な行動や感情のパターンを作ることができます。

問題を整理する力を発揮

顕在意識には、問題を定義し整理する力があります。「今の悩みをどう解決するか」と考え、相談したり自分で整理したりする行動は全て顕在意識の領域です。論理的・合理的に対応できる点は大きな強みです。一方、潜在意識は「なぜその感情が生まれたのか」「どの経験が影響しているのか」といった根本部分に関わります。潜在意識は言語化が難しいため、アプローチの仕方が異なり、顕在意識だけで理解することはできません。この両者のバランスが、健全な心の土台になります。

顕在意識の良い点

• 情報を分析し、論理的に理解できる
• 問題に対して解決策を考えられる
• 現実的な判断ができる

顕在意識の悪い点

• 感情を無視して冷徹になりやすい
• 固定観念に縛られ柔軟な発想ができない
• 考えすぎて堂々巡りになり、ストレスがたまる
• 「～すべき」「～してはいけない」といった思考にとらわれやすい

顕在意識は、私たちが今この瞬間に使っている思考や判断の部分であり、現代社会では欠かせない機能です。しかし、顕在意識だけに偏ると、思考がループしストレスを抱えやすくなります。潜在意識とのバランスを意識し、両者を連携させることで、心と体の健やかさを保ち、自分らしい生き方につなげることができます。

次回は、潜在意識について、詳しくご紹介します。