Column

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

Updated on 2022/10/ 4

Vol.88 : 「DV-2024 米国抽選永住権」受け付け開始!

Q

今年もグリーンカードの抽選は行われるでしょうか?もし、ある場合は、その応募資格や方法等を教えて下さい。

A

今年も、移民局会計年度の「2024年度米国抽選永住権」(2023年10月~2024年9月までの枠)の抽選受付が、2022年10月5日(アメリカ東海岸時刻の正午12時)から2022年11月8日(正午12時)の間に行われることが発表されました。この抽選の応募は、上記の会計年の間に5万5000件の移民ビザが、米国への移民が過去5年間において5万人に満たない国を対象(もちろん、日本は抽選の対象国となっています)として発行されることになります。

応募はU.S. Department of State Bureau of Consular Affairsのウェブサイト にアクセスし、応募することができます。代行業者等を使わない限り、申請料はかかりません。しかし、移民局を装ったウェブサイトあるいはEメールが横行していますので、URLをよく確認することが重要です。

応募資格

応募資格は以下の通りとなります。

1. 出生国、応募資格を有する国

応募対象となっている国の国籍を有しているか、あるいはその国で出生していること。ただし、該当しない場合でも配偶者が対象国の国籍を有しているか、あるいはその国で出生している場合は、その配偶者が申請者と共にアメリカに移民することを条件として配偶者の国籍を使って応募することができます。

2. 学歴・職歴

高校卒業、あるいはそれと同等の資格があること。あるいは過去5年間に2年以上のトレーニングを必要とする職種において2年以上の経験があること。どの職種が資格があるかは、O Net Onlineのウェブサイトで調べることができます。まず、左上の“Find Find Occupation”の中の“Job Family”を選びます。次に該当するカテゴリーを選び“Go”をクリックします。最後に該当する役職を選びます。真ん中辺りの“Job Zone”の中の SVP(Specific Vocational Preparation) range を確認し、これが7以上ならば資格があることになります。

今年も、1人1通の応募に限られ、2通以上の応募を行った場合には、その資格を失うことになります。申請の際には、名前、性別、出生地、応募資格適用国、パスポート番号、住所、メールアドレス、学歴等の一般的な情報に加え、写真の添付、また家族の情報も入力することになります。

ここで重要なのは、これらの情報を正確に記入していないと、せっかく当選したにも関わらず、最後の面接の際、最初の入力漏れ等の理由により却下される可能性があるということです。特に、自分で入力するのではなく、代行業者等を使う場合には、正確に入力されているかどうか、情報に漏れが無いかを確認することが重要になります。

当選発表と手続き

当選発表は、2023年5月6日以降、上記と同じ、ウェブサイト にアクセスし、確認番号を入力することにより確認できます。

当選した場合は、その当選番号により優先順位を知ることができます。この優先順位に沿って手続きが進められていくため、当選したからと言って必ずしもグリーンカードが取得できることが決まったことにはなりません。あくまで大まかな目安ですが、優先順位が5千までの場合は、かなりの可能性で順番がまわってくることになり、2024年の会計年度が終わる前の2023年の前半に面接になる可能性が高く、1万を超えると会計年度の終わる2023年の9月末までに順番がまわってくるか否かが微妙になります。2021年および2022年の会計年度では、コロナパンデミックのため、有利な優先順位で当選したにもかかわらず面接を受けることができなかった応募者がかなりの数出ましたが、前回の2023年の会計年度では、この問題は解消されたと言えます。従って、今回の抽選のプロセスでは同じような問題が飽きる可能性は低いと考えられます。

当選者がその後の手続きを進める場合は、日本のアメリカ大使館を通して行う方法(Consular Process と呼ばれます)とアメリカの移民局を通して行う方法(Adjestment of Status と呼ばれます)の2つに分かれます。後者の場合は、アメリカ国内に何らかのビザステータスで滞在している(従ってESTAによる入国では不可)必要があります。もちろん、申請者の仕事を含めた都合もあり、また、以前のコロナパンデミックのような予想できないような事態が起こり得る可能性も無いとは言えないため、一概にどちらが良いかということは言えませんが、一般的には、日本のアメリカ大使館を通して行う方法の方が、(通常ならば)比較的処理が速いこと、そして連絡が取りやすいことから好ましい選択であると言えます。また、面接の際には、相当の資産を持っている等でない限り、アメリカ国内において仕事先が決まっていた方が有利であると言えます。

抽選に応募する際は、期間終了の直前になると、例年サイトへのアクセスが殺到し、入力が困難になる可能性がありますので、早めに応募手続きを終えるのが賢明と言えるかもしれません。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

Updated on 2022/10/ 4

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taki@takilawoffice.com

Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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