私たちがカイロプラクティック神経学を習うにあったて一番最初に習うことは、「脳、そして神経は、何のために、どのような働きをするのでしょうか」 ということなんです。 それは “To Promote Survivability” と言う事、つまり人間の神経組織は生存を継続することを前提に、ありとあらゆる環境への適合を重ねて生き残りをおこなうことです。 例えば、気温が下がってきたら鳥肌を起こして体温の下降を防ぐ、暗い部屋からいきなり明るいところへ出たら瞳孔を一瞬に収縮させて光のダメージから目を守る、というようなことです。
右脳、左脳はどちらが異常に強すぎてもいけないのです。 常に協力し、調和することで正常に働くことが出来ます。 今回のテーマである 「脳の働き」 ですが、右脳と左脳の働きを考える上で、「万が一どちらかが働かなかったら、一体どうなるのか」 という話をした方が分かりやすいかと思いますので、そのように書き進めてゆきたいと思います。
脳は、母親の子宮の中にいるときから成長をはじめます。 生まれてからはもっと急激に成長をします。 生まれて2~3年は、右脳を中心に成長をします。 この時期に何か成長を妨げるもの (分娩時の問題 (帝王切開など)、環境の問題、健康問題など)があると、特に右脳の成長を妨げることになります。 これゆえに、右脳の機能障害は左脳に比べて多いことになります。
右脳
右脳はどのように働くか?
- 右脳は、物の全体像を見るように働きます。 細々としたことは見ません。
例えば、森は見えても一つ一つの木々は見ないのです。
- 体の大きな筋肉をコントロールしています。
大きな筋肉とは、姿勢を保つためのバランス用の筋肉や、歩くための筋肉です。
- 右脳は、空間を感じる脳です。
今自分が空間の中でどのような状態にあるか、立っている、座っているなど、固有感覚 (Proprioception) を使い自分の置かれている状態と地球の重力関係を感じ、これによってバランスを取ってゆきます。
- 右脳は、言葉以外のコミュニケーションを支配する脳です。 つまり、相手のボディーランゲージを読んだり、顔の表情や声音の違いなどから、相手の感情の違いや考えていることを読み取ったりする脳です。 この言葉以外のコミュニケーション (Non Verbal Communication) は、社会性を持つための基本の能力です。 これが出来ないと、次の段階の 「言葉を覚える」 という左脳の仕事を邪魔してしまいます。
- 右脳は、感情を司っている脳です。
右脳によって子供たちは自分の感情、他人の感情を察することが出来ます。
- 右脳は、左脳と違って体両方の (右、左) の感覚機能の地図を持っているので、体全体の感覚を支配しています。
左脳は体の右半分の地図しか持っていません。
- 右脳は、感情移入をすることが出来ます。 他人の表情や仕草などから感情を読み取り、それを自分のものとして感じることが出来ます。
映画などを見て感動をしたり、泣いたりするのはこれにあたります。
- 右脳は、匂いや味にとても深く結びついています。
「この食べ物はいい匂いだから食べても大丈夫」 または反対に 「変な匂いがするから食べてはいけない」 などを判断します。
- 危ない事・物だから避けなければいけない、と危険を察知して回避をするのも右脳の仕事。
故に右脳は恐れ・怒りなどの感情を支配しています。
- 右脳は注意力、危険回避能力も支配しているので、集中力はこの脳の責任です。
- 右脳は、衝動による社会的に不適当な行動を抑制します。
例えば、映画館などでみんなが静かに見ているのにいきなり大声を出したりする行動などを抑える働きをします。
- 右脳は、免疫が過剰に働かないようにストップをかける事を担当しています。
これによって自らの免疫が自分の体を攻撃しないようにしています。
- 右脳は、生存してゆくのに最も大事な能力、心拍、消化などをコントロールしています。
この右脳がもし機能低下を起こしてしまったら一体どういうことになるのでしょうか。
- 右脳は、バランス筋をコントロールしているため、機能低下するとバランス感覚が崩れてしまいます。
- バランス感覚が悪いので、物につまずいたり、転ぶことが多くなります。
- 社会性が欠如するので、自分では気づかないまま社会的に不適当な言動、行動を多くするようになります。
- 偏食する確率が高くなります。
味覚、嗅覚が鈍くなってしまうため、一定のものしか食べなくなってしまうことが多くなります。
- 本や文章を読む時は左脳が働き、言葉を読むこと自体に不自由はあまりないと思います。
しかし、読んだ内容を理解するためには右脳が必要なので、本は読めても理解があまりできないということが起こります。
- 右脳は、集中力に関係が深いので、集中力が続かなくなってゆきます。
- 衝動的、強迫観念を持って行動しやすくなります。
- 自己免疫の障害になりやすく、それによって引き起こされるのが、アレルギーや喘息などです。
- 消化器官の障害になりやすくなります。
右脳の障害が起こるとどのような病名が付くのでしょうか?
- ADHD
- アスパーガー症候群
- 自閉症
- トゥレット症候群
- 強迫反応障害 (Obsessive Compulsive Disorder)
左脳
左脳はどのように働くか?
- 左脳は、物事の詳細を見るように出来ています。 反対に言うと全体像を見ないのです。
- 左脳は、細かい作業をするときの小さい筋肉をコントロールしています。 文字を書いたり、紐を結んだりなど。
- 左脳は、スピードのいるような作業を担当します。 例えばピアノを弾いたり、コンピューターのキーボードを打ったりなど。
- 口や舌などを動かす筋肉もこの小さい筋肉に入りますので、言葉を話すという、非常にスピード性の必要な動作には左脳が活躍します。
- 左脳は言語中枢です。 言語に関するあらゆる能力は左脳にあります。 文字を一語一語読み、意味を理解をしてゆく脳です。
- 左脳は、全ての意識的な動きに関係してくる脳です。
- 左脳は、論理的な考え、直線的な考え、計算などを担当しています。
- パターンを分析する能力、外国語を学ぶ、コンピューターゲーム、楽器を習う等は、このパターン分析能力です。
- 左脳は思考する脳です。
- 左脳は、明るい感情を支配しています。 色々なものに接近しようとする脳です。
- 免疫を活性化する脳です。
さて今度は、左脳が調子を崩してしまったらどの様になるかですが、左脳の障害は右脳よりも症状が少なく、生まれてから2~3年は右脳が重点的に育つので、割と遅く (学校に通い始めるくらいの年令) まで症状が表れないため見つけにくいのです。
左脳がもし機能低下を起こしてしまった場合、どのような症状が見られるのでしょうか?
- 内気であまり社交的ではない。
- 外で遊ぶより家で遊びたい。
- 話し始めるのが遅い子供が多い。
- 左脳は言語中枢がある脳なので、言語全体の発達に関する遅れ (読み書き両方) が最も顕著な症状として表れます。
- 左脳は、手指の細かい動きをする筋肉を支配しているので、字を書くのが苦手になり、また下手になってゆきます。
- 左脳の調子が狂いはじめると、異常に自分の見た目や服装にこだわるようになってゆきます。
- 免疫を活性化する脳が弱ってくるので、よく風邪を引いたり、耳痛になります。
左脳の障害が起こるとどのような病名が付くのかですが、以下のようになります。
- 学習障害症 (Learning Disability)
- 統合運動障害 (Dyspraxia)
- 言語障害 (Language Disorder)
- 読書障害 (Dyslexia)
- 書字障害 (Dysgraphia)
- 整理過程障害 (Processing Disorder)
機能神経科カイロプラクテイックはこの右脳・左脳のバランスの崩れを神経検査、原始反射などのテストによって探り、これらを外的刺激で矯正をします。
それにより脳のバランスを図り、成長障害にならない様に治療してゆきます。
健康な脳はバランスの取れた脳です。
何か思い当たる節がありましたら、早めに、Chiropractic Functional Neurologist に相談をしてください。