米国公認会計士・MBA
武曽 俊二(むそう しゅんじ) Muso & Co info@musoco.net

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2022年 2月 11日更新

第3回 : アメリカでのレストラン経営

アメリカには多くのレストランがあり、多数の従業員を雇用しています。その数は150万人で、内訳を見ると全雇用の10%はレストランの従業員が占めています。2028年までには160万人に増えると言われています。

多くの国々からアメリカに移住して、レストランを開業する人々が絶えません。従業員を数人雇用してグリーンカードを取得するというのが現状です。

レストランの経営は大変難しいと思います。第1の困難は人材の確保です。高い給料を払うことはできませんし、従業員の出入りが激しいのです。第2の困難は言葉の壁です。多くのレストラン経営者は英語ができません。従業員とのコミュニケーションができないことが悩みの種です。第3の困難は、金融機関が外国人に融資をしない場合があることです。第4の困難は、治安が悪い地域が多いことです。そのため安全な環境を維持することに時間と費用がかかるのです。第5の困難は、州により異なりますが、最低賃金の高騰が大きな問題となっています。

しかし、こうした困難に直面していても、レストランビジネスに成功しておられる経営者の方々が多くおられます。成功しているレストランは、次のような経営を展開しておられるはずです。

  1. 提供している料理がおいしくてボリュームがあり値段も合理的なこと。特徴のある食べ物であること。寿司の場合は冷凍ものの魚は使わない。パン屋の場合ならクロワッサンが売り物で味が良く、いつも午前中だけで売り切れになっています。朝7時から店が開いているのです。
  2. 従業員が安定しており、お客さまへの対応が素早く丁寧です。経営者と従業員のコミュニケーションが行き届いている証拠ではないでしょうか。
  3. レストランの清掃が行き届いており、頻繁に床やお手洗いの清掃をしています。例えばお手洗いには、ペーパータオルやハンドドライヤー、手指の消毒スプレーなど、お客さまのための備品が整っています。清掃するスケジュールと担当者の名前も表示されています。
  4. お客様の60~70%がリピーターです。高齢の方からその子どもたち、結婚してさらに広がった家族が三代に渡り、月に一度は必ず来てくれます。レストラン周囲5マイルくらいに住んでいるお客さまです。お客さまの顔と名前を従業員が憶えていてお客さまにあいさつをします。
  5. メニューが常にアップデートされており、カラーで目を引く分かりやすい表記があり、字も大きく注文しやすくなっています。
  6. 月次決算書がタイムリーに作成されており、経営者が毎日の売り上げを点検しています。クレジットカードの入金状況も毎日確認されています。
  7. コロナの影響を、逆に経営に役立てています。例えば食べ放題はやめて、デリバリーの体制を整え、従業員数もその体制に合わせて最小限で回し売上は以前と変わらない、もしくは増えることとなり利益を確保できています。この方針転換によりお客様とのつながりもより強く親密になっているようです。

成功しているレストランの数値をわかりやすく例にすると、このようになります。

寿司屋の場合 パン屋の場合
売上高 100% 100%
材料費 31~32% 25%
人件費 30% 30~32%
一般管理経費
(家賃約10%を含む)
25~28% 25~28%
税引前利益 14~10% 20~15%
税金 5~3.5% 7~5.25%
税引後利益 9~6.5% 13~9.75%

業種により異なりますが、上記の数字から判断すると売上総利益率は69%~75%確保することが必要です。材料費の高騰が続いています。

皆、売値の変更を余儀なくされています。また、最低賃金の引き上げにも対応しなくてはなりません。家賃については、コロナ禍のため家主と値下げ交渉をする必要があります。例えば一年間でも家賃を半分にしてもらえるように交渉してみてください。

そして何よりも大切なことは、大事な従業員との関係です。従業員を家族の一員として考えた対応を日頃からしていると従業員も経営を助けてくれます。これは弊社が40年間アメリカでレストラン経営のお手伝いをし見てきた結論です。

2022年 2月 11日更新

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TEL: 323-526-9700

Columnist's Profile

米国公認会計士・MBA武曽 俊二(むそう しゅんじ)(Muso & Co)

米国公認会計士。米国の会計・税務歴40年。武曽公認会計士事務所はカリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に30年以上に渡り、税務・会計のサービスを提供。テキサスでのアパートの売買や不動産投資・不動産管理業務にも精通。2010年にはネバダ州ラスベガス、そして2014年より、テキサスのサンアントニオとヒューストンの事務所を開設。またこの地域に限らず、米国の各地でビジネスを展開されるお客様をサポート。米国で活躍されたい日本企業の皆様を応援しています。

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