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アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

Actualizada en 2019/ 6/ 20

48 vez : 永住権申請中に一時帰国したい!アドバンス・パロールの申請最新事情

Q

H-1Bビザ保持者の私は、アメリカ市民と結婚し、永住権申請の書類を米国移民局に提出したばかりです。来月、日本に一時帰国をしたいと思います。永住権申請中はアメリカ国外に出られないと聞きました。本当でしょうか?

A

アメリカ国内で永住権申請を行う場合は、基本ルールとして、申請中は国外渡航が禁止されます。移民局フォーム I-485という申請用紙を通して、移民ステータス変更手続き(Adjustment of Status)を行う申請者は、米国移民局(USCIS)の許可なくアメリカを出国した場合、その時点でAdjustment of Status申請を放棄したとみなされます。

グリーンカード申請を継続するためには、申請者は以下の2つの選択肢から1つを選ばなければなりません。

  1. 入国拒否のリスクを理解した上で、既存のビザを入国審査官に提出し、アメリカへの入国を試みる。
  2. アメリカ国外の米国領事館で移民ビザ申請に切り替える。

①の場合は、もう一度Adjustment of Status申請をやり直すことになり(申請費用額は1225ドル)、非移民ビザを所持しているのにもかかわらず、明らかに移民目的で入国したことになるので、後日USCISフィールドオフィスで行われるグリーンカード面接で、その点を指摘される可能性があります。②の場合は、米国大使館から移民ビザ面接の知らせがあるまで、1年以上アメリカ国外で滞在しなければならない可能性があります。

しかしながら、この厳しいルールには例外が2つあります。1つ目は、移民局フォームI-131という申請用紙を通して申請する仮出入国許可書(Advance Parole)を取得している場合。2つ目は、有効なH-1B(特殊技能職を含む短期雇用)かL-1(企業内転勤者)ビザを所持しているか、それぞれの帯同家族用ビザを所持している場合です。H-1Bビザの帯同家族にはH-4ビザが、L-1ビザ保持者の場合はL-2ビザが与えられます。

ちなみに、Adjustment of Status申請中は、フォーム I-131の提出に必要な申請費用(575ドル)は免除されます。注意点としては、Advance Paroleを紛失した場合、Adjustment of Status申請中であっても、575ドルを支払う可能性があることです。アメリカ国外でAdvance Paroleを紛失した場合は、さらに上記の①と②のリスクを伴いますのでご注意ください。

Advance Paroleの申請にかかる時間ですが、2016年までは必ず90日以内に発行することが規定により義務付けられていましたが、2017年1月からその規定も変わり、今ではAdvance Paroleの発行に4~8カ月間もかかっています。Adjustment of Status申請に初期追加質問(Initial Request for Evidence– RFE)があった場合、返答がUSCISに提出された時点から移民局フォームI-131の審査が開始するので、その時点からAdvance Parole取得までさらに4~8カ月間かかることもあるので注意してください。

とは言え、グリーンカード申請中に全く国外に出られないというわけではありません。緊急用Advance Paroleの当日発行も可能です。費用はかからないですが、取得条件はかなり厳しく、一般的には①情報記入済みのフォームI-131、②フォームI-485を申請中だという証明(移民局フォームI-797C ―Receipt Notice)、③家族の不幸などを証明する医師からの診断書、④病気の方との家族関係を証明する書類(戸籍謄本など)、⑤USパスポートサイズ写真(2枚)をUSCISフィールドオフィスの面接官に提出する必要があります。また、これらの書類の翻訳版もお忘れなく。緊急用Advance Parole申請が承認されれば、面接終了後にUSCISオフィサーから、45日間有効なAdvance Paroleが手渡されます。この手続きには、待合室で待たされる時間も含め、約1~2時間ほどを必要とします。

現在、予約無しではUSCISフィールドオフィスでサービスを受けることができないところがほとんどなので、事前にUSCISカスタマー・サポート・サービスセンターに電話をして、予約することをお勧めします。電話番号は1 (800) 375-5283です。

さて、H-1Bビザ保持者であるあなたは、上記の例外に当たるため、Advance Paroleの発行を待つ必要がなく、有効なH-1Bビザを保持している限り国外渡航が許可されています。米国大使館・領事館にて、新規のH-1Bビザを取得することも可能です。注意事項は、H-1Bステータスを保つためには、Advance Paroleが発行されても、アメリカ入国時は入国審査官にH-1Bビザを提出する必要があることと、アメリカのスポンサー会社での就労を継続する必要があることです。入国時に会社が発行する雇用証明書、あるいは給与明細書(Paystub)などを携帯することをお勧めします。万が一、グリーンカード申請が却下されても、H-1Bステータスを保っている間は、アメリカ国内でAdjustment of Status申請をやり直すことが可能です。

Adjustment of Status申請者にとっての海外渡航は、特に申請上のリスクを伴う可能性が常にあるので、事前に弁護士との相談をお勧めします。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。
今回のコラムニスト
Attorney大橋 幸生

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)を卒業後、アメリカ法学博士号(JD)を取得。アメリカ法全般における判例リサーチの経験をもとに、総合的な見地からの移民法のアドバイスを行う。

Actualizada en 2019/ 6/ 20

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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