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心のケアと癒しに役立つ臨床心理のここだけのお話

心理カウンセリングやセラピーをしている中で、心の悩み、成長、癒しに関するいろんなトピックが出てきます。このコラムの中でその事をより多くの方にシェアして、皆様のお役に立てれればと思っております。

Updated on 2026/ 8/ 28

Vol.60 : 潜在意識 ― 私たちを動かす見えない世界⑧ 「七つのエネルギーとは ~第7層~」

これまで見てきた「七つのエネルギー」の最終層が、第7の層「スピリット」です。ここでは、私たち一人一人を超えて、全てが一つにつながっているという「ワンネス」の考え方を取り上げます。難しく感じるかもしれませんが、特別なものとしてではなく、日常の中で感じる「つながり」から考えてみると、その意味が見えやすくなります。

第7の層「スピリット(ワンネス)」とは

七つのエネルギーの最後にあるのが、第7の層「スピリット」です。スピリットは、「ワンネス」とも呼ばれます。「ワンネス」と聞くと、分かりづらいかもしれません。簡単に言えば、「自分と他者、自分と自然、自分と世界を完全に切り離して考えない。一つの大きな存在として感じること」です。

もちろん、私たちは現実の世界では一人一人別の人間です。名前も体も違い、それぞれに人生があります。ワンネスが意味するのは、そうした個性がなくなるということではなく、そのさらに奥には、全てにつながる共通の源がある、という考え方です。

ここで、前回の「ハイヤーセルフ」との違いを整理しておきましょう。ハイヤーセルフは「高次元の自分」です。あくまでも「自分」という個別性があり、その人の魂を見守り、人生の方向性を示すガイドのような存在です。一方、スピリットには「自分」という個別性がありません。

ハイヤーセルフが「自分専用のガイド」だとすれば、スピリットは、そのガイドも含めた全ての存在が生まれてくる「大きな源」のようなものです。海にたとえると分かりやすいでしょう。一滴の水は、それぞれ別の存在に見えます。しかし、海に戻れば、一滴と別の一滴を完全に分けて考えることはできません。ハイヤーセルフは「私は私」という個別性を保ったまま、より高い視点から自分を見ている存在。一方のスピリットは、その「私」という境界そのものを超えた状態です。

「ワンネス」はどんな状態なのか

ワンネスについて、「全てが一つになっている」と聞いても、なかなかイメージしにくいと思います。そこで、日常の経験から考えてみましょう。例えば、海を見ていて、突然「自分もこの景色の一部なんだ」と感じたことはありませんか。自然の中で深くリラックスしたときに、「自分と自然の境目がなくなったような気がする」と感じる人もいるでしょう。また、美しい音楽を聴いているとき、時間を忘れて、その世界に溶け込んだような感覚になることもあるでしょう。

もちろん、こうした体験がそのままワンネスであるということではありません。ただ、「自分」という意識が一時的に小さくなり、もっと大きなものとのつながりを感じるという点では、ワンネスを理解する手がかりになります。このため、ワンネスは頭で理解するというより、「つながっている」と感じる感覚に近いものだと私は考えています。

スピリチュアルな考え方では、もともとは全てが一つだったものが、そこから個々の存在が生まれたと考えます。私たちは生まれた瞬間から、「私は私」「あなたはあなた」と分けて世界を認識します。これは人間として生きるために必要なことです。自分の体を守り、自分で考え、自分で選択するためには、「自分」という感覚が必要だからです。

一方で、「自分と他人は違う」という認識が強くなりすぎると、比較が始まります。「あの人のほうが幸せそう」「自分のほうが劣っている」「あの人は自分とは違う」など、こうした比較から、嫉妬や怒り、孤独感などが生まれることがあります。ワンネスという考え方では、こうした「分離」の感覚を超えて、「違っていても、根本ではつながっている」と捉え直します。つまり、違いをなくすのではなく、違いを持ったまま、つながりを思い出すということです。

潜在意識はワンネスへの入り口?

では、ワンネスと潜在意識にはどんな関係があるのでしょうか。私たちが普段使っている顕在意識は、論理的に考えたり、判断したり、言葉で説明したりすることを得意としています。一方、潜在意識には、言葉になる前の感覚やイメージ、過去の体験などが蓄積されています。そのため、ワンネスのように言葉では説明しにくいものは、潜在意識を通して「イメージ」や「感覚」として受け取ることがあると考えられます。

例えば、瞑想をしていて、何か具体的な言葉が聞こえたわけではないのに、「大丈夫な気がする」「これでいいんだ」と感じることがあります。論理的に説明できなくても、なぜか深く納得している。この「なんとなく腑に落ちる」という感覚が、ハイヤーセルフや、さらにその先にあるスピリットとのつながりを感じる一つの形だと考えられています。

ただし、ここで大切なことがあります。「全ては学びだから」「全てつながっているから」と、つらい出来事をいきなり高い視点から理解しようとする必要はありません。例えば、あなたが大切な人に傷つけられたとします。そのときに、「これは魂の学びだから、相手を許さなければ」と考えて、悲しみや怒りを無理に消そうとするのは違います。まずは、「悲しい」「悔しい」「腹が立つ」と、自分の感情をきちんと感じることが大切です。感情を十分に感じた後で、「この経験から自分は何を学んだのだろう」と少しずつ視点を広げていく。その先に、「この人との経験にも意味があったのかもしれない」と感じられる瞬間が来ることがあります。

ワンネスという考え方は、感情を飛び越えて高いところに行くことではありません。自分の感情を十分に経験した上で、少しずつ視野を広げていくことなのだと思います。

ワンネスに戻るということ

七つのエネルギーの考え方では、魂はさまざまな人生を経験し、その中で多くのことを学び、最終的にはワンネスへ戻っていくと考えます。第5層のソウルボディーでは「私は何を学ぶのか」、第6層のハイヤーセルフでは「自分にとって何が大切なのか」を見つめ、第7層のスピリットでは、さらにその「自分」という境界を超えていきます。そこでは、「成功した」「失敗した」という3次元的な評価よりも、「何を感じ、何を経験し、何を学んだのか」ということが重要になります。そして最終的には、「自分だけが幸せになる」というところから、「自分も他者も、全てがつながっている」という感覚へと意識が広がっていく。それが、ワンネスという考え方です。

ワンネスは、何か特別な場所へ行かなければ体験できないものではありません。誰かを思いやったとき、自然の美しさに心を動かされたとき、見返りを求めず誰かの幸せを願えたとき―。私たちは日常の中でも、ときどき「自分だけ」という境界を超える瞬間があります。もしかすると、その小さな感覚の中に、私たちが本来持っている「つながっている」という感覚への入り口があるのかもしれません。

次回は、「七つのエネルギー」シリーズの総括として、これまでの内容を振り返りながら、このシステムを知ることで見えてくる「魂の学び」と、その意味についてお届けします。

七つのエネルギー(提供 International Lifecycle Family Therapy)

Updated on 2026/ 8/ 28

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Columnist's Profile

インターナショナル ライフサイクル ファミリーセラピー(International Lifecycle Family Therapy Inc.)

CA州心理士免許(LMFT)と博士号を持つ経験豊かな2人のセラピストによる心理カウンセリングオフィス。多くの方々のより良い心の健康を目指し、個人、カップル、家族の心理セラピー/カウンセリングを日本語および英語で提供している。仁科盛次郎(心理療法士、LMFT#50945)および菱谷有希子(心理療法士、LMFT#53262)はCA州公認のマリッジファミリーセラピストで、専門は家族・カップル間のコミュニケーション、異文化や多文化における問題、思春期における心理やアイデンティティ問題、薬物依存治療など。多種多様な家族療法を取り入れたアプローチや、物の見方を変え解決方法の発見へと導くアプローチ、催眠療法などの潜在意識セラピーを提供。また、両者ともに移民難民、性犯罪にかかわる青少年更生、薬物リハビリテーション施設での経験を持つ。大学院講師としての活動及び後輩育成にも精力的に取り組んでいる。Youtube「カリフォルニアから心の癒しチャンネル」にて心にまつわるビデオ公開中。

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