CEO/Attorney
瀧 恵之 瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation info@takilawoffice.com

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アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

20年近くの経験を活かし、ビザ・グリーンカード申請に関する情報を事例をもとにQ&A形式でお答えします。

Actualizada en 2017/10/ 11

28 vez : 非移民ビザ新規則「グレース・ピリオド」について

Q

今年に入って、移民局の規則が変わったと聞きました。私は現在H-1Bビザ保持者です。私のような非移民ビザ保持者にとって、知っておくべき新規則とはどのようなものでしょうか?

A

2017年1月17日に、米国移民局(USCIS)より執行された非移民ビザに関しての新規則を簡潔に説明します。

合計20日間のグレース・ピリオド

E-1(貿易ビザ)、E-2(投資家ビザ)、E-3(オーストラリア国民専用就労ビザ)、H-1B(特殊技能職ビザ)、L-1(企業内転勤者ビザ)、TN(カナダやメキシコの国籍保有者対象のNAFTA条約ビザ)に関しては、合計20日間のグレース・ピリオド(Grace Period)が設けられました。

この新規則により、ビザ保持者は就労日の開始10日前から入国可能となり、退職日の10日後まで合法的に米国に滞在可能となりました。この合計20日間は、米国での就労の準備と帰国の準備(あるいは、ビザの更新申請、転職申請等)のために設けられた期間です。上記の就労ビザの扶養家族にもこの新規則は適用されます。

注意点としては、グレース・ピリオド中の就労は認められていないことです。

最大60日間までのグレース・ピリオド

上記のビザ意外にもH-1B1(自由貿易協定専門家ビザ)、O-1(卓越した能力の持ち主、または卓越した業績を挙げた人ならびに、それらの遂行に必要な補助的な業務を行なう人に発給されるビザ)など、合計8種類の滞在資格保持者と扶養家族には、ある条件下で最大60日間のグレース・ピリオドが与えられます。

ビザ保持者がなんらかの理由で失業した場合、グレース・ピリオドは最大60日間か、あるいは移民局から発行される認可書に定められた残りの就労期間のいずれか短い方です。このグレース・ピリオドは新しい雇用主を見つけるか、あるいは帰国の準備をすることに使われる期間です。

例えば、H-1Bビザ保持者のあなたが2017年9月1日に解雇されたと仮定し、認可書(I-797)に記載されている就労期間は、2015年8月4日から2018年8月3日までだとします。この場合は、あなたには60日間のグレース・ピリオドが通常与えられます。

比較例ですが、あなたが同じ日に解雇されたとします。H-1Bの認可書に記載されている就労期間が2014年9月4日から2017年9月5日までだった場合は、グレース・ピリオドが9月5日までしかなく、雇用主変更の申請を直ぐ移民局に提出するか、帰国するかの二択しかありません。

注意点としては、この最大60日間のグレース・ピリオドはビザ保持者に必ず与えられるという訳ではないことです。米国移民局の判断によって、グレース・ピリオドが全く与えられない可能性もあります。グレース・ピリオド中に不法労働をした、あるいは逮捕された場合は、米国移民局はビザ取得者にグレース・ピリオドを与えないという判断にいたる可能性が高いです。

H-1Bビザ保持者の新規転職申請に関して

2017年1月17日より執行された新規則は、H-1Bビザ保持者の雇用主変更申請に関して、米国移民局の従来の見解を規則化したものです。

H-1Bビザ保持者は、雇用主変更申請をする場合、ある条件下で申請が米国移民局に受理された時点で転職先で就労を開始できます。条件は、3つあります。1つ目は、H-1B保持者が合法的に入国をしていること。2つ目は、入国後に不法労働をしていないこと。3つ目は、申請時に米国に滞在しつつ、H-1Bビザでの就労を継続していることです。

申請の審査中は、合法的に転職先で就労を続けることが可能な上に、H-1Bビザ保持者が他の転職先で働けるように申請を移民局に提出した場合も、上記の条件さえ揃っていれば、さらなる転職先での就労が可能となります(Bridge Petition)。しかし最初の新規転職申請が認可されない場合は、早急に帰国しなければならないという可能性があります。

移民法は常に変わります。特に、上記のグレース・ピリオドに関しては、ケース・バイ・ケースで米国移民局の判断が違ってくる可能性があります。不安が残る場合は、早急に弁護士に相談することをお勧めします。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。
今回のコラムニスト
Attorney大橋 幸生

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)を卒業後、アメリカ法学博士号(JD)を取得。アメリカ法全般における判例リサーチの経験をもとに、総合的な見地からの移民法のアドバイスを行う。

Actualizada en 2017/10/ 11

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Columnist's Profile

CEO/Attorney瀧 恵之(瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation)

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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