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「うつ」と「不安」は、メンタルヘルスケアにおいて大きな影響を与えます。多くのストレスにさらされている現代では、誰にでも起こりえる心の病気といえるでしょう。「うつ」と「不安」には2つの原因があります。それは外的要因と内的要因です。今回のコラムでは外的要因についてご説明致します。

人は、自分を中心にして「家庭→学校・会社→地域→国→世界」という順に社会の輪が広がっています。輪が大きくなればなるほどコントロールができず、生活が脅かされてあきらめや望みをなくしてしまいます。無理にコントロールしようとすると摩擦を引き起こし、状況が悪化してしまうこともあります。

「うつ」と「不安」を引き起こす原因には、以下のような外的要因があります。

個人ではコントロールすることが難しい外的要因です。特に2020年以降は、新型コロナウイルスの感染拡大のため世界規模で大きく変わり、想像できないような環境に様変わりしてしまいました。歴史を振り返ると、疫病によるパンデミックは100～150年に一度ほど起こっているのですが、長いスパンのため、人生の中で一度起こるかどうかの確率です。また、気候の変化や不安定な政治・経済、たとえ外国であっても戦争が勃発すれば、それらによってネガティブな感情にさいなまれ、結果「うつ」や「不安」の外的要因になることもあるのです。

文化的衝突は、個人でコントロールできない外的要因の1つです。分かりやすいのは国の文化です。アメリカに住んでいる日本人の場合、文化の違いから「うつ」や「不安」になる人も少なくありません。日本で暮らしていても文化的衝突は起こります。それは社会的基準（ソーシャルノーム）です。世間では、その会社では、その地域では当たり前ということでも、自分の価値観と合わない基準に沿うことができなければ大きなストレスになります。

政治などに比べると、個人がコントロールすることが可能ですが、しがらみや罪悪感からそれができない状況にいる人も多いかもしれません。家族や友人、会社の上司、近所の人などから受けるメンタルヘルスへの影響は思いのほか大きく、時に深刻なケースもあります。

インターネットやスマートフォンが台頭し本当に便利な世の中になりましたが、一方で弊害もあります。情報量が多く伝達が早いことで、処理する能力が追いつかない、翻弄されるといった経験を持っている人も少なくないでしょう。SNSを見ることでかえって不安が助長されることもあります。SNSは依存度も高く社会問題にもなっています。

第11回「『心』と『体』のお話」　でもお伝えしましたが、心と体はつながっているため相互に影響があります。風邪を引いただけでも、なんだか落ち込んだりストレスを感じたりしたことはありませんか？メンタルヘルスにおいて体のケアはとても重要なのです。コロナ禍では、ウイルスの副作用や治療法などまだ解明されていないことも多く不安をあおられることもあると思います。健康管理という点では、個人でコントロールできる部分が多いので、食事管理や適度な運動に加え、マッサージなどの体と心が喜ぶようなセルフケアも取り入れるとよいと思います。

政治や文化などコントロールできない要因もありますが、自分でできることも少なからずあります。まずは、落ち着くこと。簡単に思えますが、頭の中が不安でいっぱいになるとこれが難しいのです。具体的には「お茶を飲む」「深呼吸する」といった動作が効果的です。

ノートなどに不安やストレスに思っていることを全て書き出してみましょう。人は思っているよりも頭の中で整理することができません。書き出すことによって、不安のタネが分かり、それがどんな外的要因から来ているのか、果たしてそれは自分でコントロールできるのかなど、客観的に分析することができます。マインドフルネスとは、今、まさに自分に起こっていることを五感を使って観察する行為で、書き出すと同じように自分の考えや気持ちに気付いたり分析したりすることができます。

友人に考えていることを伝え、自分だけで抱えこまないようにしましょう。友人でなくとも、同じような立場や文化を持つ人なら比較的話しやすく共通点も多く、必ず共感してくれる人がいるはずです。人とつながることで、自分は1人ではないということが実感できると思います。他人に打ち明けることが難しいようなら、メンタルヘルスの専門家に相談してもよいと思います。

コロナ禍の弊害としていろんな情報が錯綜しています。例えば新型コロナウイルスの感染状況のことなら、アメリカ疾病予防管理センター（CDC）などから情報を得るなど、信頼できるソースを見つけましょう。インターネットや他人のうわさ話をうのみにすることは危険です。何が真実なのか、信頼できるのか、そういうことを自分で見極めるようにする姿勢が大切です。