ディレクター
Sumiyo Sumikawa モンテッソーリ国際学園 info@monteintel.org

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いまなぜモンテッソーリ教育なのか?

モンテッソーリ教育はイタリアのマリア.モンテッソーリがつくった100年以上続いている世界で一番広く取り入れられている幼児教育です。このコラムで皆様の子育てのお役に立てると嬉しいです。

Updated on 2023/ 1/ 30

Vol.39 : しつけで悩んでいる方必読!子どもの自律を促す「ポジティブ・ディシプリン」のススメ

子育てにおける不安や心配事の中でも、特に「しつけ」で悩んでいる方は多いのではないでしょうか。昨年、日本では園児のバス置き去りや、保育士による虐待などの痛ましい事件が次々と明るみになり話題となりました。これらの事件は、家庭で子育てしている親御さんにとっては決して他人事ではなく、むしろいろんな報道や情報を知るうちに「もしかすると自分のしつけは『虐待』ではないだろうか」と悩んでしまった方もいらっしゃるかもしれません。

現在、インターネット上には子育てに関する情報があふれています。さまざまな知識を得ることができるのはよいことですが、うまくいかないとついムキになって、自分の考えを子どもに押し付けてしまったり、また発達障害がある子どもの場合は、思うようにスムーズにいかなかったりすることも多いです。

「自律」を促す「ポジティブ・ディシプリン」

モンテッソーリでは、子どもの「自律」を強化する教育を行っています。自律とは「他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること(コトバンクより抜粋)」という意味ですが、これは自然に身に付くわけではありません。また、周囲(親や学校など)が強要してしまうと、かえって子どもは自分の欲求を制御できなくなってしまうこともあります。

ではどうやって自律を身に付けることができるのでしょうか。それには「ポジティブ・ディシプリン」という方法があります。これはオーストリアの心理学者アドラーが唱えたもので、子どもを叱るのではなく、勇気づける教育法と言われています。発達段階にある子どもは全て正しい選択をすることはできませんが、その尊厳は人間として守られるべきという考えが基本になっています。そして、ポジティブ・ディシプリンには、この子どもの意志(Will)の発達のプロセスが非常に深く関わっています。

「子どもの発達のプロセス」とは

子どもの発達段階は年齢(1歳半~18歳)によって分けられ、「乳・幼児期」「学童期(小学生)」「青年期(中学・高校生)」などがあり、それぞれ身体や精神・感情が成長していきます。子どもの自律を促す「ポジティブ・ディシプリン」に必要な意志の発達は、幼児期の教育が大きく影響します。

親御さんが子どもの意志の発達のプロセスを知らなければ、子どもの意志が育つをチャンスを奪っているだけでなく、むしろ妨害し意志を表現することを阻止してしまう可能性もあります。規律のある自由の中で子どもの発達を促すために、子どもの意志の発達について具体的にご説明いたします。

ポジティブ・ディシプリン~3歳以下の意志を育てる方法

子どもの意志の発達には「従順性(素直に従うこと)」が関係しています。この従順性は3段階になっています。

  • 1段階目 「他人の指示に従う時もあれば、そうでないときもある」
  • 2段階目 「他人に言われたので、しかたなく従う」
  • 3段階目 「自ら喜んで自分の意思のもと、指示に従う」

この従順性の発達段階を知っておくと、意志や自律の育て方についても理解しやすくなると思います。

まず大前提として、3歳以下の子どもは人の話を聞けず、自分をコントロールすることができる時もあればできない時もあるという第1段階にいるということを知りましょう。ですから子どもが言うことを聞かないからといって不安を感じる必要はありません。ただ、この時期にこそ、親御さんや周囲の大人が、子どもが自己コントロールを学ぶ、またはそれができるように育てるような教育をすることが重要だということはぜひ知っていただきたいと思います。

従順性を発達させるポイント共感する。容認はしない

子どもの行動には必ず意味があります。おもちゃ遊びに夢中になっている最中に「夕飯を食べよう」と声をかけても、すんなりと従う子どもはいないでしょう。まずは子どもの様子を見て状況を把握し「もっと続けたいんだね」と、子ども目線に立ってその楽しさの価値観に共感してあげてください。実はここが一番大事なポイントです。ここで失敗すると子どもは「自分のやりたいことに協力的じゃない。この人は敵だ」と思ってしまいます。「ダメ」「NO」ではなく共感し、なだめる。そうすると子どもは従順になります。大人でも人からただ否定されるだけでは反感を覚えるだけですが、共感してもらうと気持ちが軽くなるものです。

従順性を発達させるポイント2つの選択肢を与える

子どもの価値観に共感することは大切です。けれどそれを容認してはいけません。子どもに分かりやすいガイドラインを出し、その際に2つの選択肢を与えてください。

例) 選択肢1

「ママとおもちゃを片付ける?それとも自分で片付ける?」
子どもが答えたらさらに進んでまた選択肢を与えます
「ご飯のテーブルについたらお手伝いをしてくれる?手を洗ってから片付ける?」

おもちゃを片付けて食卓に向かうプロセスを、子どもが選びやすいような選択肢を与えて導いてください。自分の意志で選択させる。そういう方向に向かうのが意志のトレーニングになります。もし子どもがぐずっても叱らず、冷静に「最終的にはママがあなたをテーブルに連れていってご飯食べるよ。それと自分で行くのとどっちがいい?」と伝えます。子どもが泣いたりかんしゃくを起こしたりするのは当たり前のことです。そうやって子どもは学んでいくのですから、親御さんは不安感や罪悪感にとらわれずに選択肢を与えてみてください。

注意点としては、2つの選択肢から選ばずに「あと5分遊びたい」といった子どもの要求は受け入れない方がよいでしょう。3歳以上になるとそういった交渉や妥協点を提示してくる場合もありますが、それをのんでしまうとさらに言うことを聞かなくなることがあります。

従順性を発達させるポイント意志と感情をリンクさせる

最も大切なのは、決して暴力(言葉を含む)で、子どもに言い聞かせようとするのは絶対に避けること。子どもが大きくなった時に自分で決断できる、大きな意志を持った正しい感覚を身に付けることが重要なのです。

何を学ぶか、どんな職に就くのかは人に言われて決めるものではありません。自分が求めること、そこに自分が何を感じているのかを知ること、つまり意志と感情をリンクさせることはとても大事です。恐怖や暴力ではなく、自分の選択肢の中から自分の意志で物事を決められるようになることが、真の自律なのです。

3歳までにきちんと従順性が発達すれば、それ以降は自らの意志で進んで行動できるようになります。もちろん個人によって発達の段階には差がありますが、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

当園では「ポジティブ・ディシプリン」に関するクラスの開催も予定しています。詳細はお電話でお問い合わせください。

Updated on 2023/ 1/ 30

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「2022—2023年度」新規生徒募集!
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  • 「キンダーガーテン」ウェイティングのみ
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Columnist's Profile

ディレクターSumiyo Sumikawa(モンテッソーリ国際学園)

公益財団日本モンテッソーリ綜合研究所研究員。モンテッソーリ国際資格取得コース (AMS認定) ディレクター。日本にてモンテッソーリ教師の資格を取得。幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。American Montessori Society (AMS) 認定の幼児及び小学部の資格を取得し、Casa Montessori School にて3-6歳児のクラス担任として7年間勤務。2003年 University of California Los Angeles、で心理学学士号取得。行動療法士として自閉症児の支援をし、その活動の一環として、自閉症やその他の障害をもつ子どもたちにミュージカル“Cats”を指導。障害児とその兄弟姉妹たちで結成した“Miraclecats”のディレクターを務める。2009年College of St. Catherineにて教育学の修士号取得。現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。

モンテッソーリ国際学園

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