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今回から2回にわたり依存症の治療法についてご説明いたします。治療法には大きく分けて「セルフケア」と「ソーシャルサポート」の2つがありますが、本コラムではセルフケアについてお伝えします。セルフケアとは文字通り、自分で自分のケアをするということです。

依存症を引き起こす要因は、薬物やお酒、インターネット、ギャンブル、ショッピング、恋愛、ゲームなどさまざまですが、その根源には心理的な問題が大きく関わっています。

依存にはサイクルがあります。

何かに依存するということは、自分が足りないと感じている気持ちや、満足していない心の隙間を埋めようとしているのです。心理的な言葉で言えば「自分の存在意義」です。これが最も大きなテーマです。「なぜ私は生きているんだろう」「私には価値があるのか」「仕事にどんな意味を持てるのか」など、自分が存在する意義が分からなくなったり、失われてしまったりすると人は心理的に依存の対象を求めます。目的や目標、夢などを持って進んでいる人は強いですが、「私は一体何をしているんだろう」と思っている人は、依存にハマりやすい傾向にあると言えます。また、依存と関わってくるのが、過去のトラウマがある人です。苦しみや痛みをどうにかしたいと思った時、手っ取り早いのがショッピングやギャンブル、恋愛、薬物というわけです。

ですから、まず自分が何が足りないと思っているのか、何に満足していないのかを知ることが重要です。それから、最も重要なのは自分を責めないこと。「私はダメだ」と思っていると、自分をいたわることができない、つまりセルフケアを怠ってしまうことがあります。

以下に、依存症の治療として有効なセルフケアについて、ご紹介します。

セルフケアの中で、最も取り組みやすいのが体のケアです。運動する、お風呂に入る、食事を取るといった基本のケアですが、体と心はつながっているので、依存と深い関係のある脳にも良い影響を与えるのでとても大切です（第18回：依存症とは①～脳と依存の関係～）。

自分にとって好きなこと。例えば、好きな音楽を聴く、映画を見るなどの趣味を充実させてみましょう。インターネットゲームなどの場合、人によっては依存症になってしまう可能性があるので、そこから離れ、自分がリラックスしたり楽しめる健康的な趣味がよいですね。

人とのつながりも大事です。SNSではなく、実際に触れ合い、心を交わすような付き合いを大切にしてみましょう。

自分を知る、自分の中で何が起こっているのか知ることは、心理的依存の解決の糸口になります。スマホでもよいので、その日に何が起こったか、どう感じたかを書き留めるとよいでしょう。

いろんな瞑想がありますが、イメージとしては「自分の中に入り、自分の中で何が起こっているか」に焦点を当てます。思考ばかりが動いている人は、論理的に考える傾向があるので、自分の感情や感覚的なものを見つめることも必要です。一番簡単な方法は、呼吸にフォーカスすることです。第12回「癒やしにつながる脳を神経のお話」で、呼吸法や瞑想についてご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。