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カイロプラクティックは面白い!

Updated on 2015/ 7/ 7

Vol.37 : 身体と精神の成長 - 聴覚解析障害(Auditory Processing Disorder, APD)

聴覚解析障害(APD)とは、耳から聴いた言葉を他の人と同じように解析できない、また聴覚と脳の聴覚中枢が食い違いを起こし、聴いた言葉の意味を正確に理解できなくなる障害のことを言います。データにより多少の差はありますが、大体就学年齢児の約3%から5%がこの障害を持っていると診断されます。男女の比率は2:1で男子が多く、成人のAPDは10%から20%くらいいるのではと言われます。大人の比率が多いのは、子供の時のAPDにより学習障害になりそれがAPDの悪化に繋がると考えられています。

APDの子供は、話し言葉の微妙な音の違いを判別できないので、単語や文章が他の言葉に聞こえたりして意味が通じなくなってしまい、その結果、理解ができなくなってしまいます。

家庭や学校においては、特に5つの状況で問題が出ます。

  1. もし子供に集中力があまりなく、さらに周りに少しでも雑音があった状況では、より一層話し言葉の聞き取りが難しくなる。
  2. 聴覚記憶の問題: 一度聞いた情報、指示、勉強のための説明などを覚えられず、勉強や仕事に支障が出る。
  3. 聴覚識別問題: 似たような発音が識別できないために、説明や指示を取り違えてしまいうまく仕事、勉強ができない。
  4. 聴覚集中力問題: 話を聞いている時に集中力が続かず、授業や説明を全部理解できないまたは覚えていない。
  5. 聴覚結合問題: 高いレベルの聴力が必要な場合。例えば数学の文章問題や会話中に雑音が入った時にそれを無視できる能力、クイズ、なぞなぞなど。

APDの子供は聴力には問題がないことが多いので、発見が遅れる事が多く、また聴覚解析力という能力は、大体7才から8才くらいにならないと脳の発達が十分でなく、診断に必要なデータが取りにくいということがあるので、この年齢になるまで診断し難いのです。

APDの症状: 要注意のチェックリスト
  • □ 子供が大きな音や、急な物音に簡単に注意をそらされる。
  • □ 周りが騒がしい状況にいると子供をイライラさせる。
  • □ とても静かな環境に子供をおくと振舞いや作業、仕事の効率が上がる。
  • □ 単純、複雑関わらず説明や指示に従えない。
  • □ 読み書き言葉、話し言葉に問題がある。
  • □ 要約した説明が理解できない。
  • □ 数学の文章問題がとても苦手。
  • □ 物忘れがひどい、整理ができない。
  • □ 話をされた内容に注意を払えない。
  • □ 何段階にわけてある指示や説明がされた場合、1つずつしか理解できない。またその段階ごとにもう一度指示や説明が必要である。
  • □ 話を聞く事が苦手。
  • □ 情報を処理、解析する時間が余分に必要である。
  • □ 学校での勉強がうまくいかない。
  • □ 振舞いに問題が出る。
  • □ 言語の理解が韻などの聞き違いで混乱してうまく理解できなくなる。
  • □ 身振りが使えない電話は特に苦手である。
  • □ 話し言葉を聞き取る事が苦手になるため、視覚でその不足を補うために、ボディランゲージや、話し手の唇を読んだりなどの能力を身につける。
大人のAPDの症状

APDは大人になっても、約10%から20%の方が症状を持ち続けるようです。

  • □ 多くの方が日常生活上で不都合を経験している。
  • □ 必要以上に大声で話す。
  • □ 順番やしなければならない事のリストを覚える事ができない。
  • □ 言葉、単語、文章を繰り返し聞かないと理解ができない。
  • □ 聞いて覚えた事が理解できない。
  • □ 聞いた言葉を鵜呑みしてしまう。
  • □ 騒がしい所での会話では理解するために助けが要る。
  • □ 他の人々から離れた所(静かな場所)でしか会話ができない。
  • □ 口頭での講演や説明に対して必ず紙に書かれたものを要求する。
  • □ 指示や説明を受ける際に、一度にではなく一つずつの段階ごとにしてくれるように要求する。
APDの原因

色々仮説があり、未だはっきりとした事は分かっていませんが、以下が原因と考えられています。

  • 頭へのケガ
  • 鉛中毒
  • 慢性的な耳の感染症
  • 脳の特定部分(聴力中枢)の成長障害
家庭でできること

早期治療が大事である事は変わりませんが、専門家は、病院での治療に加え、家庭で何かできることとして下記を挙げています。

  1. 雑音の多い環境ではAPDの子は正しく話し言葉を聞けないので、できる限り静かな環境で話をしてあげる。
  2. 話をしている人の顔を見せるように話す。
  3. 表現性の高い言葉を使って話す。
  4. 少しゆっくりと大きな声で話す。
  5. 指示や説明を与える時、それを子供自身に復唱させる。
  6. 勉強時にできるだけ静かな場所を選んであげる。
  7. 規則正しい日常生活を奨励する。
  8. 健康な食事、睡眠をとるように心がける。

APDは左脳の問題です。発見が遅れ何もしないでいると、言語や話し言葉の障害を起こし学習障害などに発展してしまいます。チェックリストの中に気になることがありましたら、早急に専門家に相談して対策をする事をお勧めいたします。

Updated on 2015/ 7/ 7

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

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