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海外で働く人にインタビュー
「海外で働く人にインタビュー」では、海外で働く人に就職活動の体験談やお仕事のご経験についてご質問させていただいております。他の業種や職種のお仕事、他の求職者の就職活動体験にご興味ありませんか?びびなびは各種就活イベントや求人情報、本コラムなどを通して、海外で活躍したい方々を応援しています。
賀川裕美さん(賀川漢方クリニック/鍼灸師・NASA Ames Research Center/研究員)
- Q
- 簡単な自己紹介をお願いします。

賀川漢方クリニックにて
- A
-
平日はNASA Ames Research Centerで生化学・分子生物学の研究員をしております賀川裕美です。週末は賀川漢方クリニックで鍼灸師として働いております。日本で大学院博士課程卒業後、ポスドクでイリノイ州のアルゴン国立研究所に5年勤務、そこでの上司に伴って現在の職場に移動し20年以上になります。
- Q
- どんなお仕事をされていますか?
- A
-
大学院時代は温泉で単離された高温で生きる微生物、好熱性細菌のタンパク質の研究をしていました。熱に強いタンパク質はもともと丈夫なので扱いが楽なんですよ。NASA Ames Research Centerでは微生物の宇宙利用の研究をしています。宇宙に持っていくには軽くてかさばらなくて長持ちするのが重要なので、植物を持っていったり育てたりするよりも微生物のほうが便利な場合が多いんです。脱脂粉乳とヨーグルトスターターの乾燥菌体をスマホくらいの大きさの特注バッグに入れてロケットに乗せてもらい、国際宇宙ステーションで宇宙飛行士にフィルター滅菌水を注入、良い温度で一晩温めてもらってヨーグルトができたあと、冷凍して地上に送り返してもらったのを今分析しています。
研究室の仕事は菌相手ですが、賀川漢方クリニックでは打って変わって人相手の仕事なのでどちらの仕事もお互いのリフレッシュになって全く異なることが学べて楽しいです。
- Q
- どんな人と一緒にお仕事されていますか?

国際宇宙ステーションでできたヨーグルト。ピンク色はpH指示薬として添加した紫キャベツパウダーがpH5以下になりヨーグルトが出来上がったことを示している。
- A
-
NASAでは同じく生化学・分子生物学分野の研究員や技術者、それらの人々をマネージするマネージャーの人々と働いていますが、近年の政府予算削減の影響で以前の3分の1位に人数が減ってしまい、ビルディングも閑散としてさみしいばかりです。残された仲間同士で細々と仲良く仕事をしています。でも仲良く仕事ができるのはありがたいことだと思っています。
- Q
- あなたの就職活動体験を教えてください。
- A
-
実は就職活動をしたことがありません。大学院入試はしましたが。ポスドク先は大学院時代の恩師、大島泰朗先生にDr. Jonathan Trentを紹介していただき、「Hard workerだって聞いたから来ていいよ」と受け入れていただきアルゴン国立研究所でのポスドク後、Dr. Trentに伴ってNASAに移動し、彼の引退後は同じDivision内で他のグループに拾ってもらい現在に至っています。NASAで働きながら夜学と土日で鍼灸学校を卒業し、カリフォルニア州の試験に合格して鍼灸師免許を取りました。
- Q
- サンフランシスコで働く良い点を教えてください。

バイオセーフティキャビネットで国際宇宙ステーションに送る予定のサンプルを準備しているところ。
- A
-
素晴らしい気候!夏はバケーションでどこか他の場所へ出かけるのが馬鹿らしく思えてきます。うちにいるのが一番爽やかな空気を満喫できます。日本の会社で働いた経験がないので良くはわかりませんが、アメリカは個人を尊重し人間関係がサバサバしており、職場では人事課が人間関係トラブルを事前に防ぐ規則や教育を徹底しているので、仕事に集中しやすい環境かもしれません。その代わり「アメリカでは職場の同僚とは天気以外の話はしてはいけない(個人的な話はハラスメントを招くので)」というのは本当だなと思うこともあります。
- Q
- 子供の頃の夢、もしくは今の仕事ではなかったら何になりたかったですか?
- A
-
あんまり夢のある子供ではありませんでしたが、お医者さんにはなってみたかったなと思うことはあります。鍼灸院で患者さんとお会いすると、お医者さんだったらもっといろいろ助けになれるのではと思うこともあります。
- Q
- 求職者へのメッセージ
- A
-
就職活動をしたことがないのであまり助言はできませんが、生化学・分子生物学分野の実験室で働くためには ① 小学校の算数が確実にできること ② 中学校の理科を理解していること、そして最も大切なのは③ 失敗や間違えを隠さない、ということです。科学の実験に「無駄な失敗」はありません。失敗したら仲間にシェアするとグループ全員が失敗から学ぶこことができます。論文に間違いが見つかった時、同じグループ内から訂正論文を出すのは他のグループに間違いを指摘されるよりよっぽど体裁が良いのです。ウソの上には科学の楼閣を築くことはできません。


2026年 6月 22日更新
上記は記事更新日時点の情報をもとに執筆されています。
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