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2月農事メモ

<2月農事メモ>

家庭菜園、市民農園利用者向きに野菜栽培情報を毎月発信しています。
2月4日は立春、2月19日は雨水(空から降るものが雪から雨に変わり、氷が溶け始め水になる頃)で、昔から農耕の準備を始める目安とされてきました。日ごとに昼間の時間が長くなり陽射しも眩しく感じ始め、今年も畑の準備をする季節となりました。
今月は、1.作物を植えつける前に植える場所を整える作業、畝づくりについて  2.農具の手入れについて 3.今月の作業について、紹介します。

1、整地・畝(うね)づくり
<畝を作る理由>
 畝をつくる最もおおきな理由は、野菜を育てる場所と通路を区別するためです。畝と通路はセット。両者があることによって次のような効果が生まれます。
?管理作業のスペースを確保する
 畝には不用意に立ち入らないのが原則です。踏みつけると茎葉や根を傷めてしまいます。畝の周囲には追肥や土寄せ、収穫などの作業をするスペースが必要ですが、通路ですべて行います。畝は立ち入らないので土はやわらかいままなのに対して、通路は踏み固められて堅くなります。踏み固めた部分の土は沈んで、結果的に畝の形が浮き彫りになります。
?水はけと通気性がよくなる
 通路よりわずかに高いだけでも、畝の余分な水は低い方〈地中や通路〉にはけるようになり、水はけがよくなります。水が抜けてきたあとには空気の通り道ができて、通気性もよくなります。
?野菜の種類や品種を分ける
 家庭菜園では、畝ごとに育てる野菜や品種を変えると、管理がしやすくなります。初心者の場合は、タネをまいた場所が分かりやすい、目印になるという効果もあります。
?日当たりや風通しをよくする
 隣の作物による日陰の影響を少なくし、風の通り道を作るためにも、通路は有効です。比較的草丈の低い葉菜類、根菜類は、通路を作らずに連続で畝を立てることもありますが、果菜類は草丈が高くなる種類が多く、管理作業もあるので、しっかり通路をとります。
― 畝があるから通路があり、通路があるから畝もある。どちらも野菜づくりには必要です。―

<畝の高さ>
 決め手は、栽培する野菜と畑の水はけの関係です。多くの野菜は、水はけのよい土を好みます。水はけのよい所は平畝(高さ5〜10?)、悪い所は高畝(20〜30?)にします。ただし、サツマイモはたいへん多湿を嫌うので、水はけのよい畑であっても高畝にします。同じイモであってもサトイモは多湿を好むので、平畝に植え付け、あとで土寄せします。
 畑の水はけがよければ、ほとんどの野菜は平畝で十分です。畝を立てるときは、中央部分がわずかに高くなるようにつくると、水はけがよくなります。高畝はつくるのも土寄せするのも大変なので、無理に土を盛り上げる必要はありません。

<畝の方向> 
畑の場所や形を考慮したうえで、土地の傾斜と日の当たり具合を確認します。基本的に、畝は等高線に沿って作ります。段々畑です。傾斜を無視すると、土や水、肥料が低い方に流れてしまいます。
太陽光は、すべての野菜にまんべんなく当たるのが理想。南北方向に畝を立てるのがおすすめです。真上から陽射しが降り注ぐ夏は、草丈の高い野菜の隣の畝にも十分日が当たります。太陽の位置が低い秋から冬は、草丈の高い野菜がないので日陰の影響は少ないです。
 一方、畝の方向が思いどおりにならない場合もあります。そのときは、大きくなる野菜を北側に、小さな野菜を南側に配置するなどの工夫をします。また貸し農園などでは、お隣の畑に迷惑がかからないように畝の位置を決めることも大切です。

<畝の幅>
 畝幅は野菜によって違います。草丈や根の伸びなど、野菜がどのくらい育つかで決まります。管理のしやすさと経済性とのバランスを考慮して、経験から生まれた畝幅、株間があります。
 キュウリなど、2列植えにして合掌式に支柱を立てる場合は、畝幅100〜120?、イモ類と長ネギは70〜100?、それ以外の野菜は60〜70?が目安です。カボチャやスイカなどは畝幅以上つるが広がるので、畝幅プラス1〜2m程度のスペースを用意します。
*まずは自分の畑を調べ、つくりたい野菜の性質も調べます。そうすれば、おのずと畝の高さや幅も決まってきます。

<整 地>
 タネをまく場所をレーキやまっすぐな板などを引っ張って水平にならします。水平になっていないと雨が降った時に水分や養分が低い方へ流れたり、成長が不揃いになります。

◇タネをまく前に
たい肥を用いる場合、未熟なものが発酵してガスや熱が発生することがあります。石灰分を畑に入れた場合も、他の肥料と混ぜると化学反応でガスが発生することがあります。2週間ほど置いてから、タネをまきましょう。
 整地作業のときに施す肥料を元肥(もとごえ)と言います。そして、生育の途中で作物の様子を見ながら施す肥料を追肥(ついひ、おいごえ)と言います。夏に実を食べる野菜は、生育期間が長いので元肥を少し控えめにして追肥を効かせるようにします。


2、農具の手入れ
 農具は野菜づくりに欠かせない道具です。農閑期となる時期に手入れをしておきましょう。クワ、レーキ、除草などで用いるホー、スコップ、移植ごてなどの金属の部分はそのままにしておくとさびが出やすくなります。
 *手入れの方法
 ?表面についた土を木べらなどで落とす。
 ?落としにくい汚れはたわしを使って水洗いする。
 ?風通しの良い場所で乾かす。
 ?さびが目立ってきたら、サンドペーパーで落とす。(木片などにまいて使うと扱いやすい)
 ?クワなどの刃が丸くなってきたら砥石で刃を研ぐ。
 ?さびを防ぐために、刃の両面にさび止め用の油を噴霧する。
 ?クワは柄との接合部分がゆるんでガタつくようならば、農耕用のクサビ(ホームセンターで入手できる)を叩き込んで固定しておく。
 ?木の柄の場合、劣化しているようならば、柄を交換しておく。

*支柱、ネットなど野菜栽培に使うもの
 支柱は病原菌や小さな虫や虫の卵がついていることがあります。汚れを落とし、支柱の表面を覆っている素材が剥がれていたり傷がないか見ておきましょう。中に水分が入り込み、さびて強度が弱くなっているものがありますので、軽く力を加えただけで折れてしまうものがないかどうか点検しておきましょう。
 防虫ネットや保温のために畝にかぶせていた不織布などは雑菌が付着していることがあるので、丁寧に水洗いします。汚れを落としてきれいにすることで複数回使用できます。ネット等を留めるために使っていた資材も汚れを落とし、割れて使えなくなっているものがないか確認しておきましょう。

3、今月の作業 ―― タマネギ追肥とエンドウ支柱立て   
<タマネギの追肥>
 なるべく2月〜3月上旬までに行ないます。追肥が遅れると病気の発生の原因となり、保存性が悪くなります。追肥の方法は溝を作ってそこに肥料を入れ土をかぶせます。または土の表面全体に肥料をまいて、小さなクマデなどを使って土と肥料を混ぜ込むようにほぐします。ただ肥料をまいただけだと、どうしても風や雨、水やりの水の勢いによって粒状の肥料が転がってしまったり、1か所に偏ることが多くなります。追肥をした後は必ず土をかぶせるようにします。
<エンドウ支柱立て>
 少し暖かくなると勢いよく生長し、つるを伸ばし始めます。支柱を立て、つるが絡みつく場所を用意します。草丈が15〜20?になる前に行います。エンドウの仲間はアサガオやインゲン豆のように、茎そのものが支柱に螺旋を描いて巻きつくのではなくて、葉の先の細い巻きヒゲが何かにつかまるようにして巻きつきます。したがって、ワラや網、枝のある笹竹などが適しています。竹の枝などを地面に挿して使うか、ワラの場合支柱に縄を張りワラの株元を下にして細い方を1回縄に巻きつけてしばりぶら下げます。周辺で手に入る素材で工夫してください。


4、その他
 残ったタネはありませんか?一般的に発芽率は採種後、日数が経過するにつれて低下していきます。タネの寿命は作物の種類によって異なりますが、短いものでは1年(タマネギ、ネギなど)、長いもので2〜3年(マメ類、ウリ類)です。
 保存方法によっても発芽率が低くなることがありますので、残ったタネはやや多めにまきます。
 また、いつ手に入れたのか分からないタネは、発芽試験をしてからタネをまくほうが確実です。家庭でできる簡単な方法として透明なパックの中に十分湿らせたティシュ、キッチンペーパーなどの上に少量のタネを並べ、乾かないようにラップをし、室内の暖かいところ(発芽適温になるところ)に置いておきます。3〜10日ぐらい観察しましょう。種類にもよりますが、発芽したものが少ない場合は、新しいタネを用意しましょう。

<タネの保存方法>
 使い切れなかったタネは劣化を防ぐため、高温、多湿、直射日光を避けて保存します。タネをよく乾かした後、茶封筒などに入れ、品種、採取年月を記入しておきます。茶筒などの容器に乾燥剤と共に入れ、テープで密封し、冷蔵庫で保存します。保存しておいたタネは、タネをまく直前に取り出します。
 

※今回の農事メモは、家の光協会発行の『家庭菜園大百科』を参考にして紹介しています。



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  • 登録日 : 2024/02/21
  • 掲載日 : 2024/02/21
  • 変更日 : 2024/02/21
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