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「あおもり歴史トリビア」第564号(令和5年7月28日配信)

「あおもり歴史トリビア」第564号(令和5年7月28日配信)

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〈青森市メールマガジン〉
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こんにちは。文化遺産課の児玉です。
東北地方北部から北海道南部にかけては、環状列石を含む様々な大型配石遺構が縄文時代後期前半に構築されていますが、配石方法や土木技術という点でみた場合には、いくつかの遺跡で共通性がみられます。
特徴的な配石方法としては、大湯環状列石(秋田県鹿角市)に代表されるように、棒状の立石を中心に放射状に石を並べる「日時計状組石」があります。ほぼ同じ時期で類似するものが太師森遺跡(青森県平川市)でも検出されています。また、小牧野遺跡を標識とし、石垣を築くように縦・横交互に配置する「小牧野式配列」と同じ配石方法が、伊勢堂岱遺跡の環状列石の一部にも採用され、大湯環状列石(野中堂)の内帯においても類似の配石がみられます。
鷲ノ木4遺跡(北海道森町)の石垣状配石遺構も、縦置きした石の上に横向きの石を重ね、石垣状を呈する点で小牧野式配列に類似します。水上遺跡(青森県南部町)では、弧状列石や直線状列石から構成される全長17mの大型配石遺構が検出されていますが、この遺跡の場合、縦横の繰り返しはみられないものの、数段横積みする点や部分的に石を縦に置く点で小牧野式配列に似ています。時系列的には、水上遺跡が最も古く、次いで小牧野遺跡・伊勢堂岱遺跡、そして鷲ノ木4遺跡の順となっています。また、鷲ノ木遺跡(北海道森町)で発見された環状列石は、内帯の石が外帯方向あるいは逆方向に傾けて配置(角度調整)され、外帯が扁平な石を埋め込んで形作られています。小牧野遺跡の環状列石も、基本的に石を傾け、見せる位置を考慮しながら構築されており、縦置きした石の一部が埋め込み式という点でも共通性がみられます。
また、小牧野遺跡では切土や盛土の法面に小牧野式配列による列石が配置されており、土留めの役割も果たしています。伊勢堂岱遺跡では配石の際に、あらかじめ整地を行っており、小牧野式配列がみられる部分には若干の傾斜角が認められます。小牧野遺跡と同様に斜面を削平したのが太師森遺跡の環状列石で、その掘削土量や作業量は小牧野遺跡以上であったと思われます。また、小牧野遺跡は中央帯・内帯・外帯の三重構造の列石を基本としていますが、同様の形態のものが伊勢堂岱遺跡の環状列石?及び鷲ノ木遺跡の環状列石でも確認されています。
以上のように、環状列石にみられる類似性は、相互の交流や情報のネットワーク等を示唆するものと考えられます。
今回紹介した、小牧野遺跡、大湯環状列石、伊勢堂岱遺跡の3つの遺跡は、見学が可能となっていますので、環状列石の共通性や違いなどを感じていただければと思います。

なお、7月30日(日)は、縄文の学び舎・小牧野館にて「こまきの縄文まつり」が開催されます。遮光器土偶キャンドル作りなど、小牧野館ならではのユニークな体験メニューが盛りだくさんです。どなたでも参加できますので、ぜひこの機会にご来館ください。


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  • Posted : 2023/07/27
  • Published : 2023/07/27
  • Changed : 2023/07/27
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