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2022年 4月 26日更新

第5回 : アメリカ経営事情:コロナ禍で売上を伸ばしたお寿司屋さん

今回は、あるお寿司屋さんのコロナ禍における決断とその成功をお伝えします。

そのお寿司屋さんはもう20年以上にわたり、従業員10名ほどで経営をしています。2年前に新型コロナウイルスが拡大した折、当時はお客さまも売上も半減し、オーナーはお店を閉めなくてはならないと思うほど落ち込んでいました。

さらに、アメリカでは追い打ちをかけるように物価高(インフレーション)が襲いかかり物価が50%近くも高騰していることも大きな要因となっています。例えば以前は3~4ドルほどだったトイレットペーパーが6ドル近くになっていたりします。

この時、オーナーは「今の給料では従業員が生活できない」と気が付いたそうです。「私は従業員に対して彼らの生活を守る責任がある」と思い、給与の大幅増額を決断しました。そして従業員に力を合わせて共に頑張ろうと話したそうです。

そのためには売上を上げなくてはなりません。つまり値上げをせざるを得なかったのです。そして今まで躊躇していた値上げに一気に踏みきったのです。改定されたメニューを見ると驚くほどの値上げ変更でした。

ところがオーナーによると、お客さまからの苦情はなかったそうです。お客さまもインフレーションについてよく理解しており、その後売上は大きく上がっているそうです。

私は彼の決断にびっくりしただけではなく、従業員を思う心を周りの人々や環境も応援してくれているのではないかと思いました。素晴らしい純粋な心を持つ人には、必ず誰かが味方をしてくれるに違いないと思いました。

こちらのオーナーには、お店が閉店する時間にお伺いしてお話をしたのですが、とても生き生きとしていてお会いしてよかったと思いました。

また、こちらのお寿司屋さんの決算書も、売上の上昇に伴って大幅に改善されていました。

まず貸借対照表では、コロナ禍で増えた銀行などからの借入金が返済されており、無借金経営に変貌していました。

このお店の場合、広さは1000スクエアフィートほどで、うなぎの寝床(間口が狭くて奥行きが深い形)で、給仕は1名で対応できるシステムにしていること、また家賃が売上の6%という低さです。寿司職人は4人で安定しているものの、キッチンは人手が足りないという状況でした。

一般的に、お寿司屋さんの損益計算書の目標数字は以下のように考えられています。
売上総利益率:
  • (売上 - 仕入材料)/ 売上
  • 65 - 68%
一般管理販売費率 (人件費を除く):
  • 一般管理販売費 /売上
  • 20 - 22%
人件費:
  • (給与・ボーナス・給与税など)/ 売上
  • 28 - 30%
家賃:
  • 家賃/売上
  • 9 - 10%
税引前利益:
  • 6 - 8%

このお寿司屋さんの決算書は上記の目標数字を少し超えており、今も頑張っていらっしゃいます。

2022年 4月 26日更新

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Columnist's Profile

米国公認会計士・MBA武曽 俊二(むそう しゅんじ)(Muso & Co)

米国公認会計士。米国の会計・税務歴40年。武曽公認会計士事務所はカリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に30年以上に渡り、税務・会計のサービスを提供。テキサスでのアパートの売買や不動産投資・不動産管理業務にも精通。2010年にはネバダ州ラスベガス、そして2014年より、テキサスのサンアントニオとヒューストンの事務所を開設。またこの地域に限らず、米国の各地でビジネスを展開されるお客様をサポート。米国で活躍されたい日本企業の皆様を応援しています。

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