こんにちは。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。
過去3回に渡り、機能不全家族(第19回、第20回、第21回)についてご説明し、機能不全家族がアダルトチルドレンを生み出しまう原因であることをお話致しました。また、前回のコラムでは、アダルトチルドレンがどのようにして自分の子どももアダルトチルドレンにしてしまうのかをご説明しました。
今回は、前回のコラムの続きで、アダルトチルドレンの親が子どももアダルトチルドレンにしてしまう例を挙げていきます。
注:過去の機能不全家族の説明のコラムと同様に、子どもへの虐待などは、子どもをアダルトチルドレンにしてしまうのが明白なので、それら当たり前のファクターは本コラムでは言及致しません。ご了承ください。
兄弟姉妹間での不公平な接し方
親が子どもたちに対して、完璧に公平に接することは現実的に不可能です。そんな中でも、できるだけそれぞれの子どもに公平に接したいと思うのは当然であり、それが親のあるべき姿です。しかし、アダルトチルドレンの親にはこれが非常に難しい課題です。非常に多くの親は、よほどしっかりワーク(カウンセリングを受ける、ジャーナルを付けて自分の思考や感情に気付くなど)をしていない限り、良い部分も悪い部分も自分の親に育てられたやり方を繰り返してしまうものです。例えば、アダルトチルドレンの親が長子で厳しすぎる育てられ方をした場合、自分の長子に対して同じような子育ての仕方をしてしまうのです。そもそも、自分の親の育てられ方がアダルトチルドレンになってしまった原因にも関わらず、同じ子育ての仕方をすれば、自分の子どももアダルトチルドレンになってしまうことは明白です。
子どもを自分の道具として扱う
アダルトチルドレンの親は、子どものニーズと自分のニーズを比較した際、さまざまな場面で自分のニーズを優先してしまいがちです。例えば、パートナーが子どもに対して必要以上に怒ってしまっている時、そのパートナーを止め、子どもを助けてあげるのが親としての仕事です。しかし、アダルトチルドレンの親の場合、パートナーを止めようとすることで、パートナーから自分への愛情が無くなってしまうのではないかという恐怖心に駆られ、子どもを守れません。それに加えて、パートナーの味方をしてさらに子どもを追い立ててしまうことも珍しくありません。このような状況では、アダルトチルドレンの親が子どもをパートナーから愛されるための道具として使用していると考えるべきです。残念ながら、ほとんどの場合、アダルトチルドレンの親は自分がこういう行動をしているとは気付いていません。
このように育てられてしまっては、子どもがアダルトチルドレンになってしまっても不思議ではありません。
愛情表現が足りない
子どもは非常に分かりやすく、愛情をあげればあげるだけ心身共に健全に育ち、愛情が足りなければ心身の健全も脅かされてしまいます。しかしながら、アダルトチルドレンの親は、そもそも親に十分な愛情を与えられていないがため、どのように愛情表現をしたらいいか分かっていない場合が非常に多いです。残念ながら、これでは子どももアダルトチルドレンになってしまいかねません。
ここで日本人の方が良く誤解されるのが「甘やかす」と「愛情表現」の違いです。甘やかすことを愛情表現だと考える方が非常に多いですが、大きな違いがあります。「甘やかす」とは子どもの責任を取り除いてしまっており、結果的には良いことではありません。しかし、「愛情表現」とはどれだけ失敗しようが、親の言う事を聞かなかろうが、子どもを愛しているのだとどんな方法でもいいので分かりやすく伝えることです。この違いを理解し、甘やかしすぎないようにしなければ、結果的にそれもまたアダルトチルドレンへの招待になってしまいかねません。
以上、アダルトチルドレンの親がどのように自分の子どももアダルトチルドレンにしてしまうかをご説明致しました。ご参考になれば幸いです。