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「あおもり歴史トリビア」第613号(令和6年8月9日配信)

「あおもり歴史トリビア」第613号(令和6年8月9日配信)

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〈青森市メールマガジン〉
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こんにちは。歴史資料室の村上です。

歴史資料室では現在、企画展示「戦争の時代のはじまり―市民の生活意識はどう変わったのか」を行っています(展示期間は8月22日まで)。今回の展示は満州移民を大きな柱としており、私は昭和14年(1939)8月から12月にかけて行われた東奥日報社社長・山田金次郎の従軍慰問旅行に関する展示を担当しました。
山田の旅行には郷土兵の慰問と農業移民村の視察という目的がありました。展示では山田の動向を伝える『東奥日報』の記事の中から農業移民村の視察に関連するものを取り上げています。今日はその一部についてお話しします。

8月28日、山田は東奥日報社社会部長の本多徳治とともに青森駅を出発し、下関、釜山を経由して満州国へ向かいました。9月20日、満州国の東北部に位置する佳木斯(チャムス)市に到着すると、この街を拠点として弥栄(いやさか)村、東北村、千振(ちぶり)街を訪問し、青森県から移住した人々と交流しています。弥栄村と千振街ではどんどん青森県から移り住んでほしい、東北村では花嫁を斡旋してほしいという要望を受けました。
 その後、南へ移動して10月6日には東豊(とうほう)県の青森開拓組合を訪ね、住民たちと懇談しました。生活について尋ねると、何も不自由はないと答える人もいましたが、大豆と水稲が凶作で困っているという声も聞かれました。

さらに、10月8日には満州国の首都・新京にある満洲拓殖公社(満拓)を訪問しました。満拓は移住用の土地の管理や移住者に対する資金の貸し付けなどを行っていた機関です。山田は満拓の幹部らと約2時間の座談会を行いました。
山田は視察先で収集した情報をあげながら、さまざまな質問をしています。まず、移民の訓練所附近に「匪賊(抗日武装集団)」がいるようだが治安に問題はないのかという問いに対し、幹部らはこの冬には解決するという見通しを示しました。次に、弥栄村と東豊県では今年は凶作となっているが農業指導はどのように行うのかという問いには、土地改良会社ができたので逐次やっていくことになると答えています。
また、山田は「開拓の土地の所有権」や「東豊の開拓地の借財」についても質問し、移住者に対して所有権の移転を行っていないことや、東豊県へ移住した人々が1戸あたり4,000円程度の貸付を受けていたことなどを聞き取っています。

このやりとりから、山田が視察を通じて治安の問題や凶作の発生など移住者が抱える困難を知り、強い関心を抱いていたことがわかります。

※今回の内容は『東奥日報』昭和14年8月8日付朝刊、10月7日付朝刊、10月26日付朝刊、10月28日付朝刊などを参考にしています。



《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
青森市新町一丁目3番7号
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp

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