Column

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

Updated on 2021/ 1/ 22

Vol.67 : ビザ発給・入国停止命令延期!ビザ更新はどうなる?

Q

現在、L-1ビザでアメリカに滞在しています。来月、ビザの有効期限が切れてしまうので、日本のアメリカ大使館で更新を行う予定でしたが、トランプ前大統領がビザの発給・入国停止命令を延期したため更新を行うことができなくなりました。アメリカ国内で滞在延長ができることは知っているのですが、日本への出張があるので難しいです。4月まで待つことも考えましたが、入国停止命令が再度延期されるかもしれないと思うと不安です。何か良い方法はありますか。

A

2020年12月30日、トランプ大統領(当時)は、同年6月22日に発表した入国制限を2021年の3月31日まで延長すると発表しました。制限の対象になるビザの種類は、前回の発表同様で「H-1Bビザ」「H-2Bビザ」「Jビザ」「Lビザ」です。そのほかの種類のビザ(例:「Bビザ」「Eビザ」「Oビザ」など)は制限の対象外となります。

H-1Bビザ
専門職ビザと言われるもので、申請者が4年制大学を卒業しているかそれに相当する職務経験があり、米国での職務内容が複雑かつ専門的であり、大学あるいは職務経験で学んだことを当該職務で生かすためのビザ。
H-2B
季節労働者のためのビザ。
J-1ビザ
学生や研究者、研修生、教師、大学教授などの交換プログラムのために用いられるビザ。
L-1ビザ
日本にある会社(親会社)から米国内にある会社(子会社)に派遣される人のためのビザ。

この入国制限の延期に伴い、日本のアメリカ大使館における永住権の面接も3月一杯まで行われないことになります。昨年から日本で永住権の面接を待っている人がかなりいますが、今後この申請者たちが面接を受けられるようになった際、日本のアメリカ大使館がどのように対応するかも注目されるところです。

さて、あなたの場合は、来月で「L-1ビザ」が切れると、「I-94」も同時に有効期限が切れることになると思います。従って「I-94」の有効期限が切れるまでに出国するか、国内での延長を行う必要があります。「I-94」の延長だけではアメリカ国外への出入国ができなくなるため、出張できるようにするには何からのビザを取得する必要があります。具体的には、まずトランプ前大統領による入国制限を受けない「Eビザ」の申請が考えられます。「Eビザ」は「E-1ビザ(通商ビザ)」と{E-2ビザ(投資家ビザ)}の2つに分かれています。どちらも、アメリカにある会社の少なくとも50%以上の株式を日本人(米国籍もグリーンカードも保持していない人)あるいは日本の会社が所有しており、「E-1」の場合は日米間において貿易が行われていること、「E-2」の場合は、日本からの投資が行われていることが条件とされています。あなたの会社は「Lビザ」の条件を備えているので「Eビザ」の条件も備えている可能性が高いです。

あなたがEビザを申請するにあたり考慮する必要があるのは、あなたの会社のアメリカ大使館での会社登録ができているか否かということです。一般的に、会社登録の有効期限はその会社の中に有効なEビザを保持している従業員がいるか否かによって決まります(ただし、必ずしもこの法則通りでない場合もあるため、不確実な場合は、事前に日本のアメリカ大使館に問い合わせておくのも得策です) 従って、あなたの会社の会社登録が有効であれば、アメリカ大使館で「Eビザ」の面接予約を入れ、面接を受けることで「Eビザ」を取得でき、アメリカからの出入国も可能になります。

しかし、まだ会社登録ができていない場合は、そこから行う必要があります。会社登録には、2~4カ月を必要とします。この期間内にあなたの「I-94」が切れる場合は、日本で待つことも可能ですが、アメリカに滞在することを希望する場合は、会社登録が完了するまでの間、現在の「I-94」の延長手続きを行う必要があります。もちろん、入国制限が3月末で解除されれば、あなたの「L-1ビザ」の更新が可能になりますが、あなたの言うように入国制限がさらに延期された場合のリスク回避を考慮するのであれば、今から会社登録の手続きを始めておくのもよいでしょう。さらに、仮に入国制限が解除されたとしても、会社登録の手続きを進め「Eビザ」を申請すれば、多くの場合5年間のビザを取得することができます。「L-1ビザ」もビザは5年間ですが、滞在資格は最大3年で、その後の更新の際に移民局あるいは日本のアメリカ大使館で手続きが必要です。しかし5年間の「Eビザ」を取得すると、滞在資格は2年ですがアメリカからの出入国のみで滞在資格の更新が可能になります。

上記のコラムは、2021年1月19日現在の情報を基にして執筆したものです。従って、上記の制限内容を含めた状況が異なっている可能性がある場合があります。詳細は専門弁護士に相談することをお勧めします。

Updated on 2021/ 1/ 22

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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