Column

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

Updated on 2020/ 2/ 26

Vol.56 : 配偶者のスポンサーは、永住権保持者VS市民のどちらがベスト?

Q

私はグリーンカード保持者ですが、お付き合いをしている彼女(学生ビザ保持)と結婚することになり、彼女のグリーンカードを申請したいと考えています。最近、グリーンカード保持者でも、配偶者のグリーンカード申請の手続きが早くなったと聞きましたが、どのくらい早くなったのですか?あるいは米国市民権を申請した方が早いのでしょうか?

A

米国市民との結婚を通してグリーンカードを申請する場合は、I-130とI-485 の申請書を同時に申請することができます。ただし、それ以外のカテゴリー(例えば、一方の配偶者が米国市民ではなくグリーンカード保持者である、または米国市民権を持っていても申請者が配偶者ではなく親子・兄弟である)の場合は、最初にI-130の申請書を提出した後に、I-485 の申請書を提出できる時期を待つことになります。これは、移民法の201条<INA §201 (c)>によって、年間で永住権を与える人数が定められているためです。ちなみに、申請ができる時期は、国務省(Department of State)が発表する掲示板(Visa Bulletin)に毎月発表されます。

カテゴリーは、以下のように分かれています。

  • 第一優先 (First Preference)
    米国市民の21歳以上の未婚の子ども。
  • 第二優先 A (Second Preference A)
    永住権保持者の配偶者または21歳未満の子ども。
  • 第二優先 B (Second Preference B)
    永住権保持者の21歳以上の未婚の子ども。
  • 第三優先 (Third Preference)
    米国市民の既婚の子供。
  • 第四優先 (Fourth Preference)
    米国市民の兄弟姉妹 (スポンサーとなる米国市民は21歳以上であること)。

グリーンカード保持者が、スポンサーとして配偶者のグリーンカードの申請を行う場合は、上記の「第二優先A」に該当します。この「第二優先A」のカテゴリーは、従来、I-130 の申請書を提出してから約2~3年後に、I-485 申請書を提出できるようになるのが一般的でした。例えば、2019年6月の時点では、2017年7月15日以前にI-130の申請書を提出した人が、I-485 の申請書を提出できるようになっていました。すなわち、約2年の待ち時間ということになります。これを本件の場合に当てはめると、あなたの彼女は2年間の間、学生のステータスを維持する必要があることになります。ところが、2019年7月の掲示板より、このI-485 の申請書を提出できるまでの待ち時間が無くなりました。そしてこれは、現在2020年2月の時点でも継続されています。この場合、配偶者が米国市民権を保持しているのと同じように、I-130 の申請書とI-485 の申請書を同時に申請することができます。

ただし、米国市民権を保持している配偶者と違う点は、米国市民権保持者を通して申請する場合、不法滞在(Overstay:入国手段は合法で、許可された滞在期間を過ぎて滞在している場合)および不法就労が許されるのに対し、グリーンカード保持者の配偶者を通して申請する場合は、これらが許されません。また、米国市民権を保持している配偶者は、Visa Waiver (ビザなし)で入国している場合であっても申請が可能なのに対して、グリーンカード保持者の配偶者を通して申請する場合は、これができません。

あなたの場合、I-130とI-485の申請書を同時に申請することができますので、申請後、約2カ月で彼女は指紋採取となり、申請後、約6カ月で就労許可および一時渡航許可を取得することになります。これにより就労が可能になり、また(仮に学生ビザが切れていて、I-20保持によるステータスだけの状態であっても)海外に渡航した後にアメリカへの再入国が可能になります。さらに、申請後は学校に通う必要もなくなります。その後、面接になりますが、最近のケースでは、就労許可・一時渡航許可が下りる前に面接となり、まれに申請から半年強でグリーンカードを取得しているケースも見るほどです。従って、あなたの場合は、米国市民権を申請(約1年を要する)するよりも、すぐにI-130とI-485の申請を行った方が賢明であると言えます。

気を付けて頂きたいのは、現時点で発表されているのは、あくまで、2020年3月までの掲示板によるもので、4月の掲示板で上記の申請ができるかどうかは(継続する可能性も十分にありますが)分からないということです。なお、4月の掲示板は3月20日頃に発表されます。ぜひ、この機会を逃さないように、早めに申請されることをお勧めいたします。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

Updated on 2020/ 2/ 26

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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