Column

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

Updated on 2018/ 6/ 21

Vol.36 : グリーンカード抽選に当選!手続きを教えてください。

Q

グリーンカードの抽選に当選しました。私が取るべき次のステップは何ですか?

A

2018年5月15日に移民多様化ビザ抽選(DV)プログラム抽選の結果が発表されました。この「DV-2019プログラム」に当選したということは、毎年5万件しか発行されない移民ビザをあなたが取得できるチャンスが、現時点で最高で約40パーセントとなったことを意味します。当選したのに、これはどういうことなのでしょうか。以下に詳しく説明します。

一昨年(DV-2018)に行われたDVプログラムの結果報告によると、2016年10月4日から11月7日までの34日間の抽選期間に、専属ウェブサイト(https://dvlottery.state.gov)を通して提出されたDVエントリーは1469万2,258件でした。そのうち、抽選に当選したエントリーは11万5,968件なので、抽選を通る確率が1パーセントに満たないことがDVプログラムの過酷な現実を物語っています。

5万件しか発行されない移民ビザに対して、当選者がその約2倍なのは、移民ビザ申請を断念する方や、規定上の必須条件を満たさない当選者がいることを前提にして定められた数字なのです。当選者こそ10万件を越しますが、移民ビザを取得可能な扶養家族や申請者の配偶者と21歳未満の子どもはその10万件に含まれていないので、最終的に移民ビザが発行される率は上記の40パーセント以下となるというわけです。

DVプログラムの当選者は、申請に対しての手続きをなるべく早く開始する必要があるといわれますが、理由としては5万件の発行数を満たした時点、あるいはアメリカ連邦政府会計年度が終了する2019年9月30日までに、移民ビザまたはグリーンカードが発行されなければならないからです。ちなみに、一昨年は9月の上旬に5万件の移民ビザが発行されたので、その時点でDVプログラムは打ち切りとなりました。

DVプログラムの当選者は、コンピューターによる無作為な抽選により選出されますが、ビザは、6つの地域<アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北アメリカ(バハマ国)、オセアニア、ラテンアメリカおよびカリブ海諸国>で、移民の率の低い順位に多くの数が配分されます。そのような状況のなかで、ビザ面接を受けられる順番「カットオフ・ナンバー」が当選者の合格通知とともに配布されます。移民ビザ面接を受けられるかどうかは、「カットオフ・ナンバー」の順番によって決定されます。

カットオフ・ナンバーは14桁の数字で構成されます。たとえば、あなたの番号が「2019AS00001000」だった場合、最初の4桁が当該会計年度(2019)となり、次の2桁が担当地域(アジア)を指します。その次の8桁の数字に記載されている情報が、面接に呼ばれる順番を示す番号です。最後の数字の8桁の数が低ければ低いほど、在日米国(東京)大使館あるいは米国移民局フィールド・オフィスで面接に呼ばれるタイミングが早くなります。年よって状況は変わりますが、1万単位の数字までがギリギリ移民ビザを取得できる範囲だと考えます。

カットオフ・ナンバーを確認した上で、次に決めなければならないのは、米国移民局フォームI-485を通してアメリカ国内で永住権申請を行うか、オンライン移民ビザ申請フォームDS-260を通して日本国内で移民ビザ申請を東京大使館で行うかとなります。

アメリカ国内で申請を行う場合は、DVプログラム費用の330ドルを米国国務省に郵送することが申請の第1ステップとなります。国務省から受理書が届いた後は、毎月9日頃に発表される移民ビザ発行数を説明するビザ・ブルテン上の「DVプログラム」蘭に記載されている日付から永住権申請が可能となります。

注意点としては、アメリカ国内での永住権申請の中でも、特別DVプログラムの場合、申請は他のケースよりも早めに処理されることになっていますが、少なくとも4~6カ月かかるので、グリーンカードが認可されるまでに5万件の移民ビザが発行されてしまうかもしれないことと、アメリカ国内に既にESTA以外の非移民ビザで合法的に滞在していることを証明する必要があることです。

東京大使館で移民ビザを申請する場合は、早急にDS-260の記入をすることによって、早めに移民ビザ面接を受けられる状態にしておくことが重要となります。基本的に移民ビザ面接の案内の通知は、面接の30日間前に通達されます。ビザ面接当日に、東京大使館の受付で330ドルのDVプログラム費用を支払った上で、移民ビザ面接を受けます。無事面接に受かれば、残る手続きはアメリカへ入国する前に220ドルのグリーンカード発行費用を支払うことのみです。

DVプログラムは、タイミングを常に注意しながら次の行動を取る必要があるので、当選した場合は、早急に移民弁護士と相談することをお勧めします。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。
今回のコラムニスト
Attorney大橋 幸生

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)を卒業後、アメリカ法学博士号(JD)を取得。アメリカ法全般における判例リサーチの経験をもとに、総合的な見地からの移民法のアドバイスを行う。

Updated on 2018/ 6/ 21

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taki@takilawoffice.com

Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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