Column

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

Updated on 2017/ 5/ 8

Vol.23 : グリーンカード申請中の出入国

Q

現在、私はH-1Bの期限が切れており、3年間の延長申請を行っている最中です。それと同時に、現在の雇用主を通してグリーンカードも申請していて、先月ようやく労働許可が取れたところです。しかし来月に、日本に帰国しなければならない用ができました。出入国に際し、何か気を付けなければならないことはありますか?

A

グリーンカード申請中に労働許可が取れたという場合、2通りのケースが考えられます。すなわち「Labor Certification 」または「Employment Authorization 」で、これらはグリーンカード申請者の間で、しばしば混同されて考えられ誤解を生む原因となっていますので、それぞれに区別してご説明いたします。

Labor Certificationとは-751)

グリーンカード申請者の間では“労働許可”と呼ばれているLabor Certificationですが、日本語では“労働認可証”と訳すのが妥当かもしれません。Labor Certificationは、グリーンカード申請における第1ステップで、労働局(Department of Labor)が発行するものであり、移民局にグリーンカードの申請を行う前に取得すべき書類に過ぎず、これによって就労できる資格があるものではありません。

この Labor Certification を取得した後、移民局で I-140 と I-485 の2つの申請を行うことになります。一般的に大きく区分すると、I-140は雇用主の審査、I-485 は申請者個人の審査が行われるプロセスであると言えます。この I-140 の申請は、Labor Certification 取得後すぐに開始できますが、I-485 は、申請者の Priority Date における順番が回ってきて初めて、申請を開始することができます。2013年5月時点では、「第3優先」の場合、2012年10月1日以前の Priority Date を保持している人が I-485 の申請を行うことができることになっています。この I-485 の申請を行う以前の段階では、アメリカからの出入国が可能かどうかはグリーンカードの申請とは関係がなく、ビザステータスがどうなっているかということによります。

もしあなたが取得したのが、後述の Employment Authorization でなく、Labor Certification である場合、あなたは延長処置を行っている最中ですので、通常は出入国をお勧めできません。この場合、延長手続きが完了するまで待つか、あるいは急を要する場合には、Premium Processing の申請により、延長手続きを早めることをお勧めします。この場合ですと、移民局に1,225ドル支払うことにより、15日以内に結果を入手することができます。また、この期間を待つことも許されないほど緊急の場合には、出国した後、日本で延長手続きが完了するのを待って、日本のアメリカ大使館・領事館でビザを取得後にアメリカに帰国することをお勧めします。

また、あなたが、I-485 の申請を行わず、この手続きを日本のアメリカ大使館で行おうとしている場合(Consular Processing)は、インタビューを日本で受けるまで、アメリカからの出入国が可能かどうかはグリーンカードの申請とは関係がなく、ビザステータスがどうなっているかということが問題になりますので、やはり上記のPremium Processingなどのような選択肢の中から選ぶことになります。

Employment Authorizationとは

Employment Authorization は、I-485 と一緒に申請を行い、申請から約2~3か月で取得できます。これを保持することにより、就労が可能となります。すでにあなたが、この Employment Authorization を取得している場合、出入国できるかどうかということはビザステータスとは関係がありません。それよりも再入国許可(Advance Parole)を取得しているかどうかということが問題になります。この Advance Parole は、Employement Authorization と同様に、I-485 と一緒に申請を行います。申請後は、約3~4か月で取得でき、これによりI-485 の申請中に、アメリカからの出入国を可能にするものです。現在では、I-485に加えて Employment Authorization と Advance Parole を同時に申請した場合、多くの場合は、1枚のカードで、Employment Authorization と Advance Parole の両方の用途を兼ねたものが送られてきます。しかしI-485 の申請中は、Advance Parole なしで出入国することは危険です。もしあなたが、Advance Parole を保持していない状態ならば、まずその申請を行い、Advance Parole 取得した後に出入国されることをお勧めします。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

Updated on 2017/ 5/ 8

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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