Column

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

Updated on 2016/ 9/ 6

Vol.15 : 日本に住む親をアメリカに呼び寄せる方法とは

Q

私は、アメリカ人である今の主人と結婚し永住権を取得しました。母は元韓国籍で、父(日本国籍)と婚姻後、帰化し、私が成人後に離婚しています。現在母親は、1人で暮らしているので、日本にいる母を呼び寄せ、グリーンカードを申請したいのですが可能でしょうか。

A

まず、あなたが、アメリカの市民権を取得し、その後、お母様を呼び寄せるのが得策であると考えます。最初の手続きである市民権申請の際には、まずその条件として、永住権を取得してから5年を経過していること(市民と結婚した場合は3年)です。申請は、期間満了の3カ月前から申請を開始することができますので、永住権を取得してから4年9カ月を経過していれば(市民と結婚した場合は2年9カ月)申請の開始が可能です。また、この規定期間(5年ないし3年)の内、合計してその半分(5年の場合は30カ月)以上は、アメリカに滞在していなければなりません。また、この規定期間の間は、アメリカに継続的に居住する必要があり、もしアメリカを長期間不在にすると、市民権の取得ができない場合があります。

市民権申請における長期不在の定義

1)6カ月未満の不在は、アメリカに継続的に居住しているとみなされます。

)6カ月以上1年未満の不在の場合は、アメリカにおける継続的な居住を放棄したことみなされ、市民権の取得に影響を及ぼす可能性があります。この場合は、申請者がアメリカにおける継続的な居住を放棄していないという客観的な証拠を提出することにより、申請が認められる余地がありますが、この立証責任は申請者の方にあります。特に最近では、審査が非常に厳しくなり、このカテゴリーに入るケースでは、申請書に説明や証拠書類が添付されていない場合は、申請書事態が申請過程に入る前に送り返されている傾向にあります。

)1年以上不在の場合は、市民権を申請する条件としての継続的なアメリカでの居住条件を満たさないとみなされます。ただし、アメリカの軍隊に属していたり、政府機関、あるいは宗教目的による場合などには例外とされています。

上記の条件は、市民権申請を行った後も、市民権取得時まで満たし続けなければいけないとされています。ただし、これらの規定は、厳格な判断基準となるものではなく、一般的なガイドラインとして使用されるものであり、各々の判断は個別になされています。

市民権申請方法

市民権申請には、N-400という書式に記入し、USパスポートサイズの写真2枚、グリーンカード(表裏)のコピーに申請料680ドル(フィンガープリント料85ドルを含む)を添えて申請します。申請書を提出した後は、フィンガープリントの通知が来ます。申請書提出後、約4~5カ月でインタビューになります。ここでは、アメリカを出国していた期間の吟味やそれ以外の内容の審査があり、また、アメリカの歴史や政治などに関する基本的なテストを受けることになります。出題される問題のほとんどは、決められた100問のうちから出題されます。ただし、この問題以外から何題か出題される例も稀にみられます。しかしこの場合であっても、全体の60%以上を正解すれば合格となるので、既定の問題と答えを全てしっかり覚え、少なくともその中から出題されたものに関しては、必ず正解できるようにされることをお勧めします。インタビューの後、約1~2カ月で宣誓式になり、この日に公式にアメリカ市民となることが認められます。

呼び寄せる親のグリーンカード取得方法

その後、お母様のグリーンカードを取得する際には、日本にて手続きを行う方法およびアメリカにて手続きを行う方法があります。まず、日本で手続きを行う場合には、アメリカの移民局に I-130 という書類を申請し、その認可を待って日本のアメリカ大使館で申請を行うことになります。この I-130 の認可には、現在、約7カ月を要しており、この後、日本の大使館にてインタビューが受けられるまで、さらに、約3~4月を要することになります。アメリカ国内でグリーンカードを申請する場合では、グリーンカードを取得するまでの全ての手続きは、約1年ほどかかりますが、申請後、約2カ月から3カ月程度で就労許可および再入国許可を取得することができ、これによって、グリーンカードを受け取るまでの間、就労および海外への出入国が可能になります。また、本件のような市民の子供が親を呼び寄せる場合には、ほとんどの場合が、インタビューが免除されるようになりました。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

Updated on 2016/ 9/ 6

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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