Column

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

Updated on 2016/ 7/ 1

Vol.13 : 学生のステータスで就労する方法に関して

Q

現在、私はアメリカの大学院で修士過程のコースにいます。今度ある会社で、有給インターンとして働くことになりましたが、F-1 ビザで在学中に就労するためにはどんな方法があるのでしょうか。卒業前にOPTで働けるという話は聞いたのですが、OPTは卒業後の就職活動のために取っておきたいと思っています。

A

あなたの場合、Curricular Practical Training を利用するのが最適であると思いますが、F-1 ビザ・ステータスで在学中に就労するには、以下の4通りの方法がありますので、順序立ててご説明します。

1) On-Campus Employment

キャンパス内ならば、セメスター中は週20時間まで、休暇や休日の間はその後の学期の授業に参加することを前提として、フルタイムで就労することができます。学校内ならば、ブックストアやカフェテリアなど雇用主が学校自体でなくても構いません。またキャンパス外であっても、学校と密に提携している場合には、この制度の適用を受ける場合があります(例えば、メディカルスクールの学生で、その付属病院で働くような場合)。On-Campus Employmentの場合は、移民局の許可を直接得る必要はありませんが、学校自体が許可制にしている場合があるので、その場合は、就労前にInternational Student Officeに行き、その許可を得る必要があります。

2) Unforeseen Economic Necessity (Severe Economic Hardship)

アメリカ入国時には学校を卒業できるだけの資金源があったにもかかわらず、学生のコントロールの及ばない範囲で事情が変わった場合、学校と移民局の許可を得ることで、キャンパス外でも就労することができます。職種の制限もありません。これには、両親の失業または入院による膨大な医療費の出費で、継続して就学を続けることが困難な場合などが例として挙げられます。アメリカ入国時には予期していなかった事情の発生が、学生側の原因で起こったのではないことの証明に加えて、この労働手段のほかに On-Campus Employment 等、他の労働手段がないことも条件とされています。

3) Optional Practical Training (以下OPT)-Pre-Completion

一般的には卒業後に取得するOPT(Post-Completion)を卒業前に取得するもので、フルタイムの学生として1か年(セメスター制の場合は、2セメスター)以上学校に通い続けた後、学期中は週20時間まで、休暇や休日の間は、その後の学期の授業に参加をすることを前提としてフルタイムで就労することができますが、職種の選択にあたっては、学生の専攻する学術領域に限られます。学校の許可を得た後、移民局の許可を必要とします。ただし就労期間が、フルタイムで1年(週20時間ならば2年に換算)までに限られており、さらに卒業後にOPTのPost-Completion を申請した場合、その期間(1年)から、Pre-Completion で就労した期間が差し引かれることになります。

4) Curricular Practical Training

上記のOPTと同じように、フルタイムの学生として1か年(セメスター制の場合は、2セメスター)以上学校に通い続けた後、学校(Designated School Official)の許可を得ることで、学期中は週20時間まで、休暇や休日の間は、その後の学期の授業に参加することを前提としてフルタイムで就労することができます。職種の選択に当たっては、学生の専攻する学術領域に限られます。CPTは、学校の許可のみでよく、移民局の許可を必要としません。

従ってあなたの場合、就労がキャンパス外であるため、1)のOn-campus Employment を使うことはできず、2)のUnforeseen Economic Necessity も、経済的な事情が変わったことを証明するのが困難でしょう。また卒業後にOPTを使うことを予定しているならば、4)のCPT をお勧めします。CPTは、フルタイムで1年間就労しない限り、卒業後のOPT の期間より差し引かれることはありません。例えばCPTを1年より1日だけ短い364日間使ったとしても、OPTは1年間使うことができます。パートタイムなら何年つかっても、OPTの期間に影響を及ぼすことはありません。あなたの場合、Business Majorですので、ほとんどの会社でその適用を受けることができ、また上述したように、移民局の許可を得る必要が無いので、開始するまでの準備期間も非常に短くて済み、あなたにとって最適の就労資格と言えるでしょう。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

Updated on 2016/ 7/ 1

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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