Column

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

Updated on 2015/10/ 1

Vol.4 : 【最新情報スペシャルコラム】 グリーンカード申請の待ち時間が大幅に短縮!

スペシャル!

10月からグリーンカードの待ち時間に関するシステムが、大幅に変わります。読者の方々も大変興味のあるところだと思いますので、今回は「最新情報スペシャルコラム」として詳細をお届けします。

今月より、グリーンカード申請における待ち時間が著しく変わりましたが、これは、グリーンカードを取得するのが短くなったわけではなく、グリーンカードの最後の段階の申請(I-485)を行うまでの待ち時間が非常に短くなったということです。

これに関して、以下に詳しくご説明すると、配偶者が米国市民権を持っていない場合の家族申請における永住権申請は、四つのカテゴリーに分かれています。

  • 第一優先 (First Preference)
    米国市民の21歳以上の未婚の子供。
  • 第二優先A (Second Preference A)
    永住権保持者の配偶者、または21歳未満の子供。
  • 第二優先B (Second Preference B)
    永住権保持者の21歳以上の未婚の子供。
  • 第三優先 (Third Preference)
    市民の既婚の子供。
  • 第四優先 (Fourth Preference)
    米国市民の兄弟姉妹(この場合、スポンサーとなる米国市民は21歳以上であること)。

今までは、移民法201条(INA §201(c))によって、年間でどれだけの人数に永住権を与えるかということが定められていたため、配偶者が米国市民権を保持していない場合は、移民局に永住権の最初の段階の申請(I-130)をしてから第2段階の永住権の申請(I-485)をするまでかなりの期間を待たされていました。現在(2015年10月)の例で言うならば、第一優先のカテゴリーでは、2008年の1月15日に申請を開始した人に順番が回ってきています。第二優先Aでは、2014年4月15日、第二優先Bでは、2009年1月15日、第三優先では、2004年5月22日、第四優先では、2003年2月8日です。

しかしながら、今月から開始された制度の下では、従来の優先順位の日付のかなり前に、別の優先順位が定められ、この日付が来た時点で、第2段階の永住権の申請(I-485)ができるとされています。今月の例で言えば、第一優先のカテゴリーでは、2009年の5月1日、第二優先Aでは、2015年3月1日、第二優先Bでは、2010年7月1日、第三優先では、2005年4月1日、第四優先では、2004年2月1日です。これらの日付が来た時点で、第2段階の申請を行うことができます。ただし、グリーンカードが取得できるのは、従来の優先順位の日付が来た後になります。

ここで具体例を挙げてみましょう。現在学生ビザのステータスでアメリカに滞在している方が、グリーンカードを持っている彼と結婚し、彼を通してグリーンカードを申請する予定だとすると、従来の優先順位の日付(今月で言うならば、2014年4月15日)が来るまで、グリーンカードの取得はできませんが、新しく定められた優先順位が回ってきた時点(今月で言うならば、2015年3月1日)で、第二段階の申請を行うことができます。このことで、まず学校に通う必要(もちろん継続して通うことは可能です)がなくなります。またこの申請の後、約3ヶ月で、就労許可および一時渡航許可を取得することができ、就労したり(たとえ学生ビザの有効期限が切れていたとしても)米国外への出入国が可能になります。言い換えると、グリーンカードはまだ持っていないものの、できることはグリーンカードをもっているのと同じということになります。

これらの日付の発表は、こちらで確認することができます。また従来までは、上記のようなケースは、グリーンカードを保持している配偶者が、待ち時間を短縮するため、米国市移民権を申請するということがしばしばみられましたが、この新しい制度の下、その必要性がなくなっていく可能性が大いにあります。(市民権取得の手続きに掛かる時間の方が、優先順位の日付が回ってくる期間よりも長い、あるいはあまり変わらないからです。)

この制度は、家族申請のみではなく、就労を通してグリーンカードを申請する場合にも同様に用いられることになりました。ただし日本人の場合は、就労を通してグリーンカードを申請する場合の、従来の待ち時間自体があまりにも短いため(将来において、大いに有効になる可能性はありますが)現在の状態では、あまり意味がないと言えます。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

Updated on 2015/10/ 1

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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