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いまなぜモンテッソーリ教育なのか?

Updated on 2017/12/ 18

Vol.27 : もっと知りたい!モンテッソーリ教育 「モンテッソーリ育成教師育成集中トレーニングコース」レポート

Special report「モンテッソーリ育成教師育成集中トレーニングコース」レポート

今年から、ロサンゼルスでAMS認定のモンテッソーリ教師育成集中トレーニングコースがスタートしました。今回は、同コースのプログラムで講師を務めた炭川純代さんのスペシャルレポートをお届けします。

モンテッソーリ国際学園ディレクター

炭川純代さん

モンテッソーリ教師育成集中トレーニングコース開始

今年の7月から、南カリフォルニア大学(USC:University of Southern California)内の児童教育センターで、モンテッソーリ教師育成のための集中トレーニングコースがスタートしました。アメリカン・モンテッソーリ協会(AMS:American Montessori Society)*が認定するコースで、受講生は、1年間にわたりモンテッソーリの理念や教育を学んでいきます。教師育成コースには、すでにウエスト・コビナ市のモンテッソーリ・スクールで開講している2年制コースがありますが、これが初の1年制コースとなります。夏の集中講座で「感覚教育」「言語教育」「文化教育」「算数教育」そして「日常生活の練習」などを学び、9月からは教育実習が始まります。また実習期間は、月に一度、幼児教育に関するクラスを取ります。

今回私が担当したのは、7月上旬に開催された1週間のプログラム「感覚教育」です。11人の受講生の内訳は、モンテッソーリ・スクールの現役教師に加え、これから教師を目指す若い世代。私は2011年から、年に一度、東京・品川区にある公益財団日本モンテッソーリ教育綜合研究所開催の実践研修室というクラスで教鞭を執っていますが、英語での授業は初めての経験でした。

このコース講師のお話しをいただいた時点では、単純にアメリカ・モンテッソーリ協会のプログラムがどう構成されているのかに興味があり、また後進育成のノウハウを学ぶ良い機会だと思いましたが、予想を遥かに超え、いろんな意味でチャレンジかつ成長の場となりました。

講師の視点で実感した日米の違い

現在、私はサンタアナ市でモンテッソーリ国際学園のディレクターを務めており、幼稚園およびスクールエイジ・プログラム(初等科/日本語学科/芸術学科)で子どもたちを教えていますが、同じ教える立場でも、教師と講師ではまるで違うと実感しました。特にアメリカでは、言語や文化の違いもあるため、こちらが伝えたいことをどう相手に伝えているか、またきちんと伝えられているかを見極めなければなりません。たとえ相手にうまく伝わったとしても、すぐに結果が出るものではなく、さらに実践が伴わなければ、机上で学んだ理念や理論はすぐ忘れてしまいます。改めて“教えること”は奥が深いと思いました。

わずか1週間のプログラムでしたが、日々、自身を磨く良い機会となりました。受講生にとっては“私=モンテッソーリ”であり、講師は知識だけではなく、人としての魅力も必要であると感じました。プログラムの内容はすべて私に一任されていたので、プレッシャーもひとしお。また、何事も自分で考えて進めていくことが求められるアメリカの文化を再認識しましたね。

日本とアメリカで教壇に立って気づいたことは、日本人はやはりとても真面目。授業に遅刻することはなく、宿題やレポートの提出期限も守ります。日本では講師は先生然としていて、受講生との距離も遠く、なかなか意見を出しづらい環境にあります。アクティブラーニング(能動的学習)も行われていますが、その環境作りにはまだまだ時間がかかっているのが現状です。一方、アクティブラーが根付いているアメリカでは、自分の考えや意見を論理的に述べることができるように、小さい頃から訓練されているし、たとえ間違ったとしても、そこから何かを見つけて吸収していきます。けれど意外なことに、プレゼンテーションとかテストは日本人のほうが得意なんです。アメリカ人の表現力には適いませんが、マニュアル通りに細かいことも記憶して上手に進める能力は高いと思いましたね。

モンテッソーリ教育に携わるようになって28年ほど経ちますが、まさかアメリカのモンテッソーリ教師育成コースの講師を務めることになるとは、夢にも思いませんでした。新人だった時代から、頼まれたことをすべて引き受けてきたら、時を経ていつの間にかできるようになっていた。人間っていざとなればなんとかできるもんだなというのが実感です(笑)。ありがたいことに、2年制コースの講師のお話しもいただいており、最新のモンテッソーリ教育を学んで日本の現場に伝えたいですね。どんどん若い人に自分の知識を提供して育成し、モンテッソーリ教育者としてたすきをつなぎたい。近い将来に、日本でのさらなる普及を目指し、アメリカン・モンテッソーリ協会認定にスクールを立ち上げるのが目標です。

アメリカン・モンテッソーリ協会(AMS:American Montessori Society)

1929年に設立されたアソシエーション・モンテッソーリ・インターナショナル(AMI:Association Montessori International)から派生した非営利組織。1960年に設立され、アメリカの学校におけるモンテッソーリ教育の推進、研究、政策提言を行っている。

今年7月に、南カリフォルニア大学内で行われたモンテッソーリ教師育成のための集中トレーニングコースの様子。

モンテッソーリ国際学園課外教室
クラス 曜日
空手教室 (3歳~4歳) 月曜日
空手教室 (5歳~6歳) 月曜日
体育教室 (3歳~) 水曜日
体育教室 (4歳~) 木曜日
日本舞踊 (5歳以上) 水曜日
脂肪燃焼体育 (6歳以上) 木曜日
チアダンス (3歳~4歳) 金曜日
チアダンス (5歳~6歳) 金曜日
チアダンス (7歳以上) 金曜日
茶道教室 (5歳以上) 金曜日
日本の小学1年生以上対象クラス(* 2011年4月1日以前生まれのお子様対象)
クラス 曜日
日本語で遊ぼう 水曜日
作文教室 月曜日
太鼓教室 月曜日
伝統文化教室 木曜日
大人対象クラス
クラス 曜日
ヨガ教室 火曜日/木曜日
着付け 水曜日
英会話 金曜日
バレエ 金曜日
大人エクササイズ 木曜日
無料体験クラス実施中!

お一人につき、上記いずれかのクラスをひとつ選んで体験していただくことが可能です。各クラス定員がありますので、参加希望の方は、事前に園までご連絡下さい。

⋆クラスの内容は、11月15日現在のものです。内容や日時は予告なく変わることがあります。

Updated on 2017/12/ 18

お知らせ
「2022—2023年度」新規生徒募集!
  • 「2~3歳クラス」募集開始
  • 「4歳クラス」定員残り3人(男児2名/女児1人)
  • 「キンダーガーテン」ウェイティングのみ
  • 「小学部1~3年」定員残り2人

※2022年5月11日時点の情報です。詳細は以下まで問い合わせください。

TEL: 714-444-2733
EMAIL: info@monteintel.org

皆さんのご意見、ご相談等ございましたら以下までご連絡ください。

info@monteintel.org

Columnist's Profile

ディレクター
Sumiyo Sumikawaモンテッソーリ国際学園

公益財団日本モンテッソーリ綜合研究所研究員。モンテッソーリ国際資格取得コース (AMS認定) ディレクター。日本にてモンテッソーリ教師の資格を取得。幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。American Montessori Society (AMS) 認定の幼児及び小学部の資格を取得し、Casa Montessori School にて3-6歳児のクラス担任として7年間勤務。2003年 University of California Los Angeles、で心理学学士号取得。行動療法士として自閉症児の支援をし、その活動の一環として、自閉症やその他の障害をもつ子どもたちにミュージカル“Cats”を指導。障害児とその兄弟姉妹たちで結成した“Miraclecats”のディレクターを務める。2009年College of St. Catherineにて教育学の修士号取得。現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。

モンテッソーリ国際学園

2717 S. Halladay Street Santa Ana, CA 92705

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