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カイロプラクティックは面白い!

Updated on 2017/ 5/ 2

Vol.58 : 神経性膀胱症(Neurogenic Bladder)

正常な膀胱の機能とはどういう状態をいうのでしょうか。日常生活をしていると、人は1日平均約4回から8回の排尿をします。膀胱はほとんどの場合、尿を溜めておく状態になります。正常な膀胱機能は、2つの状態に分けると、1つ目は尿を溜めること(Filling Phase)で、2つ目は尿を排出することです(Emptying Phase)。膀胱括約筋と尿道の括約筋の機能が絶妙に働いて、初めて膀胱機能が正常ということになります。

正常な膀胱機能の流れ

尿を溜める(Filling Phase)

  • 交感神経が副交感神経を抑制させることにより、膀胱括約筋の収縮を抑える。
  • 交感神経が内側の尿道の括約筋を強く締める指示を出し、尿が漏れないようにする。
  • 交感神経が直に膀胱括約筋をリラックスさせる。
  • 末梢神経が外側の尿道括約筋を緊張させる。

排出する(Emptying Phase)

  • 膀胱に尿が溜まってくると、膀胱の壁にあるストレッチセンサーが信号を大脳に送る。
  • 大脳が排尿OK という指示を出し膀胱に指令を送る。
  • 大脳からの指示を受け取った時、尿道の括約筋がリラックスして尿の通り道を開ける。
  • 同時に膀胱の括約筋が緊張して尿を外に押し出し、排尿が完了する。

膀胱は、たくさんの神経が複雑に役割分担をしてコントロールしているのです。それゆえ、このコントロールに少しの狂いが起こってしまうと、障害を生じてしまいます。この障害が神経性膀胱症です。膀胱をコントロールする神経は、大脳、脊髄、末梢神経から来ており、このどれかに問題が出ることで、さまざまな症状が出てしまうのです。

正常な排尿は、基本的に脊髄反射で、中枢神経(大脳と脊髄)によりコントロールされています。膀胱と尿道は、脊髄神経と自律神経に支配されています。

大脳 : 大脳は、排尿機能の司令塔になり、全てを支配しています。大脳は膀胱からの信号を受けて、膀胱にどれくらい尿が溜まっているかを感知し、排尿に適切な環境にあるかなどを判断します。そして排尿OKという信号膀胱にを出した時に、初めて排尿となります。

脳幹 : 脳幹の中間辺りにあるポンズ(Pons)という部分にある排尿中枢(PMC)が、膀胱の括約筋をリラックスさせ、同時に膀胱自体の括約筋を緊張させて排尿させます。反対に排尿中枢(PMC)がスイッチオフになった時には、排尿したいという感覚が減り、もう少し我慢することができます。

脊髄 : 脊髄の役目は、脳幹と仙骨神経の連絡の橋渡しをすることです。膀胱からいっぱいになったという信号を脳幹に送り、さらに大脳につながり、大脳から脳幹、脊髄神経に、信号がいって排尿をするかしないかを膀胱に伝えます。

自律神経 : 交感神経がオンの時は、膀胱自体の筋肉はリラックスするので、尿が膀胱に溜まります。括約筋は緊張して尿が漏れないような状態を保ちます。さらに副交感神経と排尿反射を抑制します。副交感神経がオンになると、前出とは反対の状態になり、括約筋は弛緩し膀胱が収縮して排尿を促します。

神経性膀胱症の原因

  • 脊髄のケガで神経の麻痺を起こし膀胱をコントロールできない。
  • 梅毒、糖尿病、卒中、椎間板ヘルニア、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、Multiple Sclerosis(多発性硬化症)などの病気による。
  • アルコール中毒
  • 先天的な脊髄の障害
  • 脳腫瘍、脊髄の腫瘍
  • 脳性まひ
  • パーキンソン病
  • ビタミン12不足

神経性膀胱症の症状

神経性膀胱症には、2つの違った症状があります。1つは過剰に働く膀胱(Overactive Bladder)で、もう1つは不活性な膀胱(Underactive Bladder)です。

過剰に働く膀胱(Overactive Bladder)

  • 卒中、大脳障害、パーキンソン病の方に多く見られる。
  • 膀胱括約筋が過剰に働いてしまうので、トイレが間に合わなくなってしまう(失禁)。
  • トイレに行きたいという感覚が頻繁に起きる。
  • 少量の尿が頻繁に出る。
  • 膀胱を完全に空にできない(残尿管)
  • 膀胱のコントロールができない。

不活性な膀胱(Underactive Bladder)

  • 糖尿病、多発性硬化症(Multiple Sclerosis)、梅毒、ポリオなどの方に多く見られる。
  • 排尿時に膀胱括約筋が弱くしか収縮できないので、完全には排尿ができない。
  • 尿管部分の括約筋が排尿時にうまくリラックスできないため、尿が出にくい。
  • 膀胱がいっぱいなのに排尿できない。または尿漏れする。
  • 感覚が鈍くなっているので、いつ膀胱がいっぱいになっているのかが分からない。
  • 排尿時に、すぐに排尿ができない。

このように、膀胱の筋肉のコントロールの調和が乱された時に、多くの問題が起きてきます。特に、排尿のタイミングがコントロールできなくなってしまう失禁は、大きな問題です。

カイロプラクティック治療の効果

私たちカイロプラクターは、薬なしでの治療と骨盤の筋肉のトレーニング、そして神経系への活性化を図り、症状の改善を目指します。気になりだしたら、専門家へ相談を早めにしてください。

Updated on 2017/ 5/ 2

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Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

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