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カイロプラクティックは面白い!

Updated on 2015/ 2/ 25

Vol.33 : 身体と精神の成長 - トゥレット症(Tourette Syndrome)

トゥレット症(Tourette Syndrome)とは、継続的に起こる突発性のコントロールできない動きや、不随意に起こる動き、筋肉痙攣(これをティック=Ticと言います)、そして声帯の痙攣などに特徴づけられる神経障害です。トゥレット症は、1885年にフランスの神経科医Dr.Touretteにより紹介されて今にいたっています。

トゥレット症とは

トゥレット症の早期症状は、平均で3歳から9歳くらいに現れ、どの民族にも同じ割合に起こるようです。男女比は3~4倍で男の子に多く起こります。推定では、アメリカに約20万人の重症のトゥレット症患者がいると言われています。

Center of Disease Control(CDC)の統計によりますと、6才から17才の子供の360人に1人がトゥレット症患者で、そのうち約37%が、中度から重症患者ということです。また白人には、黒人やラテン系の人よりも、約2倍トゥレット症患者がいるとされ、12歳から17歳の患者数は、6歳から11歳のそれよりも、約2倍トゥレット症が多いようです。

症状

最も代表的な症状が、ティック(Tic)という症状です。ティックとは、突発的、間欠的に起こる痙攣のような筋肉の動きを言います。ティックは、大きく2種類にわかれ、1つは『単純なティック(Simple Tic)』で、これは急激な短い繰り返しの動きが限られた筋肉の間で起こる症状です。2つ目は『複雑なティック(Complex Tic)』で、これはもっと多くの筋肉の間で起き大きな調和した動きを起こす症状です。

単純な運動性ティック(Simple Motor Tic)

短く急激に繰り返し起きる痙攣のような動きです。

  • 急激な瞬き
  • 異常な目の動き
  • 肩をすくめる
  • 急な肩や首の動き
  • 険しい視線
  • 繰り返し指を曲げる
  • 舌を出す
複雑な運動性ティック(Complex Motor Tic)

コーディネートされた少し複雑な動きです。

  • 鼻を繰り返し触る
  • 近くの人を触る
  • 匂いを嗅ぐ
  • あまり感心しない動作やジェスチャーをする
  • 腕を動かし続ける
  • 跳ね回る
  • しかめっ面をする
  • 体を捻ったり、曲げたりする
単純な音声ティック(Simple Vocal Tic)
  • しゃっくり
  • 叫び声を上げる
  • 大きな咳払いを繰り返しする
  • 吼える
複雑な音声ティック(Complex Vocal Tic)
  • 色々な声色を使う
  • 自分で言ったことを何回も繰り返して言う
  • 他人の言ったことを何回も繰り返して言う
  • 汚い罵りの言葉を好んで言う

ティックは、興奮状態のときやストレスのかかった時には悪化し、反対にリラックスしている状態や物事に集中している時は落ちつきますが、睡眠中にティックが起こることもあります。またある一定の物事がティックを悪化させることもあります。例えば、服の襟が気になりだしたり、他人の咳払いを聞くことで引き金になることもあるのです。さらに1つの種類のティックから他の色々なティックに変化することもあります。

診断基準

トゥレット症の症状には、音声ティック(Vocal Tic)と運動性ティック(Motor Tic)の両方が存在します。診断基準は以下の通りです。

  • ティックが毎日数回以上あり、その症状が1年以上続く(ティックが起こらない期間が3か月以下である)。
  • ティックの起こり始めが18歳前である。
  • ティックの原因が薬物によるものではない。
原因

詳しい原因はいまだに不明なのですが、脳のある部分(前頭葉、べーザルガングリア)に異常があるのではないかという説があり、この脳の部分を繋ぐシステムに異常を起こしているのではないかと言われています。またドーパミン、セラトニンなどの神経伝達物質の異常や、ある遺伝子の異常が原因とも言われています。そしてADHD、OCD(強迫反応障害)、学習障害、うつ病、不安症などの併発症からの影響もあるようです。

併発症

トゥレット症に診断された子供の約86%が、下記のような併発症を持っていると言われています。

  • 63%がADHD
  • 26%が行為振る舞いの障害
  • 49%が不安症
  • 25%がうつ病
  • 35%が自閉症
  • 47%が学習障害
  • 29%が言語、しゃべりの障害
  • 12%が知能障害
  • 28%が成長障害により学習能力の低下
  • 33%以上がOCD(強迫反応障害)
症状の進み具合

最初の症状は、頭、首から始まり徐々に背中、四肢に広がっていきます。ティックには運動性と音声の2つがありますが、運動性ティック(Motor Tic)が音声ティック(Vocal Tic)よりも早く始まります。多数のトゥレット症患者が、このティック症状のピークを感じるのが10代半ば頃、そして10代後期には症状自体は少し和らいでいくようです。そして大体10%~15%の患者が、10代後期に症状が緩和せずに悪化をすると言われています。

トゥレット症は、ADHDや自閉症(Autism)などのように、右脳の機能低下によって起こるものなので、併発症も考慮して治療をすることも可能です。つまり併発症の症状が緩和すれば、トゥレット症も緩和することも考えられますので、早期に機能神経科カイロプラクターに相談してください。

Updated on 2015/ 2/ 25

お問い合わせ、ご相談はこちらからお気軽にどうぞ。

Columnist's Profile

Chiropractic Functional Neurologist
Hiro Sugawara D.C.Hiro Sugawara, D.C.

空手や棒術などの武道に打ち込む中、少林寺拳法の整体に興味を持ち、それがきっかけになりカイロプラクティックを知り渡米。1990年に Palmer - Westカイロプラクティック大学を卒業、学位を取得、92年 Sunnyvale に開業現在に至る。94年には、公認スポーツカイロプラクター資格を取得、95年より2000年母校 Palmer - West大学にて講師を務める。98年より Chiropractic Neurology の勉強を始め神経科カイロプラクティックの知識を深め、さらに、平衡感覚リハビリテーション講座、交通事故のスペシャリストとしての Auto Safety Trainer講座、機能神経科としての Developmental Disorder Specialty (発達障害児講座) 等数々の講座を終了。現在も Mountain View のシニアセンターやPHP (Parent Help Parent) にてセミナーを行いながら更なるカイロプラクティックの知識と技術向上に努めています。

Hiro Sugawara, D.C.

990 W Fremont Ave Ste M, Sunnyvale CA 94087

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