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「あおもり歴史トリビア」第602号(令和6年5月24日配信)
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〈青森市メールマガジン〉
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みなさん、こんにちは。室長の工藤です。
明治22年(1889)4月1日、市制・町村制が施行されました。青森県は1市(弘前)5町(青森・鯵ヶ沢・黒石・三戸・八戸)165村でこの新制度がスタートしました。そして青森町では5月1日に町会議員選挙が行われ、これについては『新青森市史』通史編第2巻(P.74〜76)で紹介しました。
今回は、5月1日・2日で行われた油川村の村会議員選挙をご紹介します。典拠となる史料は歴史資料室が所蔵する「明治二十二年五月自一日至二日 油川村会議員選挙録」という当時の行政文書です。
まず、町村の選挙人は納税額に応じて一級と二級とに分けられ、一級には納税額が多い人が属することになります。そして油川村では4月付で納税額と氏名が記された「撰挙名簿」が作成されています。この名簿には、一級34名、二級225名の計259名の選挙人が登載され、彼らによって定数12名の村会議員を選ぶことになります。
ところが、ここで「1票の格差」が生じます。というのは、一級の選挙人は12名の議員定数の半分の6名、二級の選挙人もおなじく6名の議員を選ぶからです。具体的にいうと、一級では14票を獲得すれば当選できたのに、二級では82票を獲得しても次点となり当選できませんでした。
一方、議員を目指す者は状況に応じて一級・二級どちらにでも立候補ができました。油川村では5月1日に二級の選挙が行われ、当選した6名のうち5名が高額納税者(一級の名簿に登載された者)でした。翌5月2日の一級の選挙では当選者全員が高額納税者で、しかも立候補者の約72.7%が二級との重複立候補でした。なお、投票は両日とも選挙人から選ばれた4名の選挙掛と選挙掛長(官吏)立会のもと、明誓寺を投票所とし午前10時〜午後3時の時間で行われました。
また1日の二級の選挙においては、名簿に登載されていない7名の投票が棄却され、さらに「神官ニシテ議員タルコトヲ得サルヲ以テ投票ヲ棄却ス」となった人物も1名いました。投票が締め切られてからは即日開票となり、その結果を含めた選挙の?末が記録され、候補者の前でそれを朗読したようです。
ちなみに、投票率は一級が約82.4%、二級が約62.2%でした。
村会議員の選挙が終わるとつぎは村長を選ぶことになります。5月19日に村長・助役の選挙会が開かれたといいます(西田源蔵『油川町誌』)。ここで村長に選ばれたのは、町村制以前に戸長を務めた経験のある笹森悠三郎でした。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
青森市新町一丁目3番7号
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
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