米国の歯科診療 101

米国の歯科診療は日本で行われている診療と似ているものもあればかなり違いがあるものもあります。今回のシリーズでは米国の歯科診療101と題して簡単にこちらでの歯科診療が日本のものとどう違うのか、また米国で行われている一般的な治療から最先端の歯科診療に至るまでをDr.伊藤が分かりやすく説明します。

2016年 2月 10日更新

第20回 : インプラントロジスト

インプラントロジストとは?

皆様はインプラントロジスト(Implantologist) という言葉を聞いたことがありますか?

インプラントロジストとは、一般的に、歯科医師の資格を持つ者が歯科インプラント治療に関する全てのトレーニングを、歯科大学の大学院や口腔インプラント学会の承認する病院施設などで、3年から(フルタイム)5年(通常はパートタイム)のカリキュラムをこなした歯科医のことを言います。インプラントロジストは、インプラント口腔外科とインプラント補綴(インプラントの上部構造にあたる歯の部分)のいわばスペシャリストです。

歯科医師会の決定

出典元:
http://www.ada.org/en

米国歯科医師会(American Dental Association )は、歯列矯正専門医や小児歯科のように、インプラント歯科を専門医制度にしませんでした。したがって、歯医者なら誰でもインプラント治療を行うことができるようになっています。現在、歯科インプラントの多くは、口腔外科医( オーラルサージェン)か、歯茎の専門医(ペリオドンティスト)が外科治療を行い、一般歯科が上部構造の補綴物(歯の部分)の修復を行っています。しかし口腔外科医はもともと、上顎や下顎の外科的治療が専門であって、通常はインプラントに関する多くのトレーニングを受けてはいません。また歯茎の専門医であるペリオドンティストも、インプラントトレーニングのカリキュラムを多く取り入れるようになったのは比較的最近ですから、どちらの歯科医もインプラントの歯の部分に関するトレーニングはほとんど受けていないのが実情なのです。また歯を作る一般歯科でも、外科的なトレーニングを受けていないのが一般的です。

歴史的な背景

米国は、日本の歯科と違い専門医制度によってきっちりと専門の分野が分かれて歯科治療が行われている形態であるにもかかわらず、インプラント歯科だけが本来必要であるはずの専門医制度になっていないのです。では何故歯科インプラントが専門医制度になっていないのでしょうか?ここで少し歴史的な話をしたいと思います。今、世界各国で使われている歯科インプラントは、もともと1940年代後期にヨーロッパで始まりました。イタリアとスウェーデンでほぼ同じ頃に始められたようですが、現在もっとも広く使われている基礎になっているインプラントは、スウェーデンの整形外科医によって考案され、米国には1978年に上陸しました。その後大学病院での治験を経て、1981年に、日本の厚生労働省にあたるFDA (Food and Drug Administrationアメリカ食品医薬品局)の承認を受け、今日にいたっています。そして1991年、私がインプラントを始めた年ですが、当時インプラントの経験が3年あればエキスパートだとされていた時代です。私はその当時、歯科インプラントで全米ナンバーワンといわれたロマリンダ大学歯学部の大学院にインプラントロジストになるべく入校しました。その頃米国歯科医師会(ADA)では、歯科インプラントの専門医制度を作るべく検討されており、私の恩師であるジェームル教授をインプラント部門のトップに据え、土台作りが行われていました。しかしながら、どこの世界にもある政治的な動きがあり、一筋縄で行くものではありませんでした。簡単に説明しますと、口腔外科医の学会とペリオドンティストの学会が歯科医師会の中でインプラントの取り合いになり、激しい攻防があったのです。結果的に、歯科医師会はインプラントの専門医制度を作るのを断念し、あいまいな状態で保留されるという事態になりました。

インプラント歯科における問題点

インプラント治療は、他の分野の外科治療と比べ、際立って高い成功率を誇っています。

一般歯科医で治療を受けた場合、20年間の成功率は94~96%といわれていますが、インプラントロジストのようなインプラントのスペシャリストのオフィスで治療を受けると、96~98%の成功率があるという統計結果が出ています。言い換えると、インプラントの治療というのは駄目になる場合もあるものの、比較的上手くいくことが多いのです。真の問題点は、もし患者さんのケースがこの逆サイドの4~6%に入った場合に起こるのです。そのほとんどは外科的な問題です。歯を入れてくれた歯医者では対応しきれない場合が多く、患者さんは外科の先生のオフィスに回されます。外科の先生は外科的な処置を行いますが、問題を起こした根本的な原因は歯から来ている場合が多いため、原因を取り除くまでの処置はできないケースがあります。外科の先生と一般歯科医とのチームワークがよく取れている場合はさほど問題が出ないかもしれません。しかしその多くは、外科の先生が自分の通っている歯医者のオフィスに月に1~2度来て外科治療を行うという場合が多いので、患者さんは外科の先生のオフィスまで行くことになります。オフィスが遠かったり、日本語が通じなかったりといったことで困る患者さんが多くいるのは事実です。

問題が発生した際に違いが出るインプラントロジストのメリット

インプラントロジストは、インプラント治療の外科から上部構造の歯の部分までのトレーニングを専門医レベルで受けているため、一貫して一箇所のオフィスで一人の先生が治療をすることができます。したがって、インプラント治療を行っている際にもし問題が生じた場合には、即対応し、治療や処置をその場で行うことが可能なので、早期発見・早期治療という観点からも、とてもアドバンテージがあります。また問題が最初から起きないような治療のテクニックや知識などは、やはり正規なトレーニングと研究をもとに蓄積された経験を持つインプラントロジストに診てもらうことが患者さんの安心にもつながるのではないでしょうか?

Dr. 伊藤は口腔インプラント外科とフルマウスリハビリテーション等の補綴のトレーニングを受けた 数少ないインプラントロジストの一人です。リトル東京とオレンジカウンティーにオフィスがあり、日本語でわかりやすく丁寧に御説明いたします。無料コンサルテーションのお問い合わせは、日本語で213-687-3895 もしくは714-549-7030 までお気軽にご連絡下さい。

2016年 2月 10日更新

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Columnist's Profile

歯科医師伊藤 仰一(Dr. Kouichi Itoh / ホンダプラザ歯科医院 / The Loft Dental Studio)

1980年、歯科医師になるため渡米。米国歯科医師免許(DDS)取得後、ロマリンダ大学大学院口腔インプラント外科講座修了。歯科補綴専門医コースに一年間所属。その後、助教授として同大学に在籍。米国における日本人としては初めてのインプラントロジストとして日本口腔インプラント学会や歯科大学での招待講演多数。現在も日本においてインプラント研修会の講師を多数務める。2001年よりリトル東京ホンダプラザにて開業。2007年にはオレンジ郡コスタメサに2件目のオフィス、The Loft Dental Studioをオープン。インプラント治療を中心とする審美歯科医院で両医院とも最新の設備を装備。レーザー診療をはじめ、今話題のマイクロサージェリーも提供。その他に一般歯科、口腔外科、歯槽膿漏、麻酔科、Invisalign 歯列矯正、Lumineers治療も提供。患者さんは州外、日本からの来院もある。

コラム羅府新報歯科診療最前線2005年~2007年
TJS日本語ラジオ放送デンタルアベニュー30分放送平日毎日2007年~2008年
コラムTV ファン「歯科診療こぼれ話」2007年~2010年
現在、TJS Japanese Radio FM106.3 の番組 LA Morning にて『Dr.伊藤のデンタルアベニュー』を隔週火曜日に放送中。

Dr. Kouichi Itoh / ホンダプラザ歯科医院 / The Loft Dental Studio

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TEL:
213-687-3895
EMAIL:
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